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人にフォーカスしたソリューション提供を加速するSPSS

井津元由比古

2005-11-15 17:47

 SPSS Japanは11月8日、9日の2日間、都内のホテルでユーザーカンファレンス「SPSS Open House」を開催した。自社開発の「Predictive Applications」製品群によって、より具体的にビジョンを語れるようになったSPSS。現状と今後について、来日した同社のSPSSの社長兼CEO、Jack Noonan氏に話を聞いた。

--Predictive Analyticsというコンセプトを明らかにしてから3年ですが、市場への浸透度をどう見ますか。

 広く受け入れられています。ガートナーはこの分野を独立した市場セグメントとして定義しています。また、IDCもビジネス・インテリジェンス(BI)とは別のセグメントでこの分野をとらえ、ベンダーやアプリケーションを比較評価するだけでなく、その効果や価値の基準も明確化しています。このように順調に浸透していますが、まだ私が期待していたところまでは達していません。

--Predictive AnalyticsとBIとの違いはどこにあるのでしょうか。

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「BIとPredictive Analyticsは補完関係にあるもの」と語ったSPSSの社長兼CEO、Jack Noonan氏

 BIは、データウェアハウス(DWH)から情報を配信すること、つまり過去に発生した事実をレポートすることに主眼を置いています。これに対してPredictive Analyticsは、将来の姿を示すことにフォーカスしています。これらはまったく別の分野です。ですから、SPSSはすべてのBIベンダーと協業できると考えています。われわれが未来をつかむためのデータを作り、BIがそれをレポートする。これが理想的な姿ですから。

--たとえば、レポーティングに強かったクリスタルディシジョンズは分析機能を強化してきました。そして同じくレポーティングに強いビジネスオブジェクツ(BO)に買われた。BOはその後も分析機能を強化し続けています。一方でPowerPlayを擁して分析機能に定評のあるコグノスは、レポーティング分野へと手を広げています。彼らのメッセージはBIのフルスイート。こうした動きをどう見ますか。

 BIベンダーの分析技術はすべてOLAPがベースです。エンドユーザー向けの機能が豊富で、「スライス&ダイス」(ある月やある商品分類といった形で多角的に情報を切り取って見ること)によって可視化する。これに対してPredictive Analyticsは、ビジネスアナリストに対して未来を示すことのできる技術です。たとえば、DWHにあるデータをPredictive Analyticsが解析し、またDWHに格納する。それからBIのツールを使ってスライス&ダイスすると、より理想的なレポートをユーザーに提供できます。このように、BIとは技術的に補完関係にあるのです。

 見るところ、BIベンダーは経営ダッシュボードなど、経営層向けの機能を拡充しているようです。これにはKey Performance Measure(KPIと同義)が必要になるのですが、そのベースとなるのは過去の履歴管理です。SPSSは将来を予測するための指標をKey Performance Predictorと呼んで重視しています。企業は、BIのスライス&ダイスやドリルダウンとPredictive Analyticsの将来予測を組み合わせることで、ITから得られる価値を最大化できるでしょう。

--そのKey Performance Predictortはどのように定義されるのでしょうか。

 たとえば顧客リテンション(顧客が離反せず、高いロイヤリティを保ち続けてくれること)を考えてみましょう。BIでは、さまざまな指標から顧客リテンションのレベルをつかむことができます。SPSSは、そうした指標とは別に、将来予測を可能にする変数を置きます。この「予測変数」をDWHに格納して予測値として活用するのです。さらに、運用を続ける過程で予測値になりそうな指標を識別し、それを新たな変数として追加することも可能です。これによりユーザーは、単に将来を予測するだけでなく、「なぜそうなるのか」を判断できる。これがPredictive Analyticsの最大の特徴です。

--なるほど。では話題を変えます。Predictive Applicationsの登場で、Predictive Analyticsの意味が明瞭になりました。ただ、将来予測と言えば、長い間、MRPやSCMの需要予測がITの主要なトピックになっています。SPSSはなぜその分野にアプリケーションを提供しないのでしょう。

 われわれがこれまでに提供しているPredictive Applicationsは、キャンペーン・マネジメントの「Predictive Marketing」、コールセンター・マネジメントの「Predictive CallCenter」、およびウェブサイト・マネジメントの「Predictive Web」です。つまり、SPSSは人を対象としたソリューションにフォーカスしているのです。SCMの領域では、オラクル傘下に入ったJ.D.エドワーズのSCM製品は、われわれの予測技術を利用しています。このように、SCMベンダー向けに技術を提供し、彼らが優れた予測機能を実装することを支援しています。

--次のPredictive Applicationsはどんな製品になるのですか。

 最近、「Predictive Claims」を欧米で出荷しました。これは、保険会社向けに提供する製品で、顧客からの保険金請求に対する審査プロセスを改善するものです。ここまでの説明ですと、不正な請求を検出すると思うでしょう? それだけではないのです。審査プロセスが遅延する最大の問題は、大量のFalse Positive(正当な請求を不正と判断してしまうこと)にあります。Predictive Claimsは、この件数を激減させ、正当な請求に対する審査プロセスを簡略化してすばやく保険金を支払えるようにするツールなのです。審査期間を短期化し、審査プロセスを省略することで、内部コストを下げる。それだけでなく、顧客満足度を向上されることもできます。

--統計解析の技術が基盤にあるとすると、ノイズとして扱われる不正が通り抜けてしまう危険がありませんか。無視できる量でしょうし、無視した方が内部コストを抑えられるかもしれません。しかし、金融機関は不正に対してもお金に対しても最もシビアな業種です。

 世界中のあらゆる保険会社で、「不正な請求に対して支払いを実行したことは一度もない」と言い切れるところはありません。一方、請求するとすぐに保険金を支払ってくれるところもありません。完璧なところはないのです。

 私は、「Predictive Analyticsは旅である」と話しています。プロジェクトではなく、旅なのです。完璧を目指して使い続け、少しずつ改善し、ノイズを減らす。重要なのは「目指す」こと。Predictive Claimsも、決して完璧ではありません。しかし、旅を続けることで、さまざまな予測モデルを生み出すことができますし、正当な請求をより迅速かつ正確に把握できるようになります。

--技術的な話を少々よろしいですか。保険の請求では、文字で書かれた情報も多いはずですが、テキストマイニングで対応できますか。

 はい。将来予測向けに最適化したテキストマイニング技術を提供していますので、十分に対応できます。

--既存システムとの連携はどうでしょうか

 APIを使うこともできますし、Webサービスをベースとしたコンポーネントとして埋め込むこともできます。審査プロセスに組み込むので、現在のパイロットユーザー6社では、SAPのERPや、古くから使われてきたレガシーシステムと連携しています。

--最後に聞きます。Predictive Claimsの次に出てくるのはどのようなアプリケーションになるのでしょう。

 ヒントを差し上げましょう。SPSSがこれまで提供してきたアプリケーションは、すべて顧客にフォーカスしています。そして、顧客はさまざまな人々です。生徒、患者、従業員、パートナー企業の担当者……。われわれは、これまで顧客にフォーカスしてやってきたことを、こうした人々へと転用できると考えています。

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