ウイングアーク テクノロジーズは11月15日、企業のIT推進部門や情報システム部門、システムインテグレーター(SI)などを対象としたイベント「ウイングアーク 帳票SOAフォーラム2005」を、東京コンファレンスセンター・品川(東京都品川区)で開催。同社の新しい戦略となる「帳票SOA(サービス指向アーキテクチャ)」と、それを具現化する帳票開発ツールの新製品「SVFX-Designer」を発表した。
- 「今後は、名古屋、九州地域、中国にもビジネスを拡大していく」と話すウイングアークの内野社長。
これまでの企業システム開発は、部門ごとに最適化された開発が行われてきたために、業務システムごとに個別の帳票システムが開発されていた。そのため同じような帳票を複数のシステムで開発し、プリント出力していたことから、開発費やメンテナンスコスト、出力コストなどで多くのムダが発生していた。また、各システムがモノシリックに構築されていることから、システム統合などの環境の変化にも柔軟かつ迅速に対応することができなかった。
そこでウイングアークでは、帳票システムにSOAの概念を採用して構築することを提案。これまで業務ごとに開発、利用されてきた帳票システムを、各システムから独立させた共通の「帳票機能」(サービス)として利用する帳票SOAという新しいコンセプトにより、全社規模での標準化はもちろん、企業間やグローバルに展開できる帳票システムの実現を目指す。この帳票SOAを具現化するための製品が、XMLに対応した新しい帳票開発ツールであるSVFX-Designerとなる。
SVFX-Designerの最大の特長は、標準技術であるXMLを利用して「Enterprise XML Form」を作成できること。Enterprise XML Formは、ウイングアークが開発した全社および企業間で共通して利用できる帳票フォーム様式であり、XMLで定義されたフォームレイヤー、ロジックレイヤー、データレイヤーの3層で構成される。SVFX-Designerでは、Enterprise XML Formをプログラムを記述することなく一括して生成することが可能。帳票フォームを資産として長期に活用することを可能にする。
また、使いやすさが強化され、あまり深いITの知識を持っていないエンドユーザーでも仕様変更や新規作成が行える操作性を実現。定型帳票はもちろん、保険提案書や進捗管理表など、業務に依存しない幅広い分野の帳票デザインを実現し、開発生産性も大幅に向上できる。これらの機能強化は、既存のSVF(Super Visual Formade)ユーザーの要求を反映したものになる。
SVFX-Designerは、2005年12月8日より出荷の開始を予定。価格は、1クライアントあたり50万円(税別)で、関連製品やサービスを含め、初年度に2億5000万円の売り上げを見込んでいる。
ウイングアークではさらに、ユーザー企業のシステムに、同社が責任を持って帳票SOAを実現するための新しいサービスである「プロフェッショナルサービス」も提供する。同サービスでは、基幹帳票システムの開発/運用やホストシステムからオープン帳票へのマイグレーションなどをサポート。Best Fit サービスやインストレーションサービス、製品バージョンアップサービス、各種サポートサービス、各種プロフェッショナルサービスが提供される。
これらの取り組みにより、ウイングアークが目指すのが「帳票ECOサイクル」の実現となる。帳票ECOサイクルについて、同社の代表取締役社長、内野弘幸氏は、「これまでにSVFユーザーが開発した帳票フォームを資産として有効に運用するための仕組みや環境を考えたペーパレス化の推進など、さまざまな取り組みを継続していく。これにより企業が安心して30年間使い続けられる帳票システムの実現を支援していく」と話している。