XMLは黎明期にあるのか、過渡期にあるのか、それともすでに定着期にあるのだろうか。米国にて開催中の「XML Conference & Exposition 2005」において、米Microsoft SQLサーバ・ウェブデータXML担当プロダクトユニットマネージャーのSoumitra Sengupta氏が基調講演に立ち、XMLの現状とサービスの差別化について語った。
Sengupta氏は、ほとんどの技術は黎明期と過渡期を経て定着期に至るとしている。「黎明期は、一部のエキスパートのみがその技術について詳しいという状況だ。過渡期には技術が一般に行き渡るものの、問題が起こった時のためにやはり技術に詳しい人間がそばにいてほしいと思うだろう。定着期には技術も安定するため、エキスパートをそばに置く必要がなくなる」と同氏は説明する。
- XMLで差別化するための鍵を語るSengupta氏
黎明期には新技術に注目が集まり、こうした技術を利用して新たな製品やサービスが生まれるが、過渡期には淘汰が訪れる。その後技術は安定し、技術の統合や標準化と共ともに普及に向かう。PCの世界でIBMのアーキテクチャが標準となったことはその一例だ。
ただ、安定期に来ると、「技術の差別化が難しくなる」とSengupta氏は警告する。ではビジネスで差別化するためにはどうすればよいのか。同氏は、コンピュータの世界では、技術の進化によりハードウェアなどのコストが下落すると同時に、システムが複雑さを増し技術者のコストがかさんでいるため、「開発時間や開発にかかる人件費を削減することが鍵となるだろう」としている。
これをXMLに置き換えた場合、差別化はサービス間におけるデータフォーマット問題を解決することやスキーマの進化、ソリューションを用意する時間を短縮することのほかに、「ビジネス文書のXML化が進む中、これまでの文書をXML文書の中に取り込み、XML文書からビジネスデータベースにデータを入れられるようにすることが重要となる」とSengupta氏。
Sengupta氏は、「XMLはメインストリームになりつつある。XMLユースケースのキーとなるのは、サービス間のフォーマットやインフォメーションワーカーの使うフォーマットが扱えるようにすることだ。こうした融合が、新たなビジネスチャンスを生む」として、講演を締めくくった。