知名度は低い。それでも売れているツール群がある。提供するのは、「ERP Lifecycle Management」を掲げるIntelligroup。アップグレードや運用で、SAPユーザーの抱える課題を解決するツールと方法論で先端を走る。来日したCEOのVikram V. Gulati氏に同社の取り組みについて話を聞いた。
--今回の来日目的は?
3〜4カ月に1度は日本に来るようにしていて、4月にCEOに就任してから2度目の来日になります。今回は、SAPユーザーに対するサービス提供で日立製作所とグローバルな提携を行ったため、本社を表敬訪問することが主目的でした。
--現在、ビジネスは主にSAPユーザー企業向けでしょうか。
Oracle EBSやPeopleSoftなどのERP分野やSiebel関連のサービス提供なども行っていますが、中心はやはりSAP。65〜70%がSAP関連のビジネスです。日本市場ではほとんどSAP関連です。これは、SAPだけをやっているからではなく、SAPが日本市場で独占的な地位を築いているためです。
--では、そのSAPユーザー向けに提供しているツール群について教えてください。
現在、5つのツールをラインアップし、それを使ってコンサルティングサービスを提供しています。まず、アップグレードの際に影響を受けるアドオンを洗い出す「Uptimizer」。システムが大きくなれば、影響範囲の分析だけで数カ月かかることもありますが、われわれのサービスでは、わずか4日間でプロジェクト計画を見積もることができます。
SAPが稼働して数年経つと、データが蓄積され、それに伴ってシステムが重くなり、アーカイブを検討することになります。それを支援するのが「ArchivePac」です。これを使えば、SAPがサポートしないテーブルやオブジェクトもアーカイブできます。サポートパッケージを適用するときには、「HotPacAnalyzer」。使っているモジュールを洗い出して影響範囲を調べ、適用作業を最小限にできます。
また、総合的なパフォーマンス改善のために、「SPEED」を提供しています。アドオンプログラムをABAPコードも含めて詳細に分析することで、パフォーマンス劣化の原因を特定。改善案とその効果を提案します。最後の「Program Analyzer」では、アドオンを分析し、たとえば同様の機能を持ったアドオンを統合することなどで、システム全体の最適化を進めます。
こうして、われわれはERPの導入からアップグレードや運用の改善提案まで、ERPのライフサイクルをトータルに支援しています。それがIntelligroupの「ERP Lifecycle Management」なのです。
--これらのツール群はSAP向けのものだけがあるのですか。たとえばOracle EBSユーザーにも同様のツールを提供していますか。
将来はわかりませんが、現在のところ、SAP専用のツールだけです。
--では、SAP以外の分野でIntelligroupが提供できるサービスの特色や強みはどこにあるのでしょう。
導入やサポート、アプリケーション管理、アップグレードのあらゆる場面で、独自の方法論を提供することができます。ただ、他社との差別化という観点からすると、SAP分野ほど大きな違いはないかもしれませんね。
--現在の顧客数はどれくらいですか。
約300社で、日本では80社です。
--顧客との契約は、プロジェクトベースになるのでしょうか。それとも継続的に運用契約のようなものを結ぶのでしょうか。
プロジェクトといっても長期のものがありますので、何とも言えませんが、半々くらいだと考えてください。
--工数削減はまるで魔法のような話ですが、初めて付き合う顧客は信じてくれるものでしょうか。
かなりの実績がありますから。SAPユーザーの悩みはメンテナンスにあって、ほぼすべてのユーザーがメンテナンスやアップグレードに受け身の姿勢でいます。これをもっとプロアクティブな体制に変えてもらいたい。そのためにIntelligroupはERP Lifecycle Managementを唱えているわけですし、ツールや方法論も単体で使ってもらうのではなく、顧客の求める結果を出せるよう、組み合わせて提案しています。コンサルティング力やノウハウ、それにコンセプトを含めて、顧客からは信用してもらっています。
--今後の目標は?
SAPのアップグレード市場でナンバーワンになるだけでなく、オンリーワンの企業としてやっていきたいです。競合相手は、若干ながらあることは事実です。しかし、われわれのようにトータルにライフサイクルをサポートできるところはありません。SOX法への対応にノウハウもありますから、ERP市場で常に注目される存在でありたいです。