日本BEAシステムズは11月18日、RFID(無線ICタグ)への取り組みを紹介するプレス向けの説明会を開催した。同社のRFID戦略の中核となるのは、米BEA Systemsが2005年10月に買収を発表したConnecTerraのソリューションだ。
「BEAとConnecTerraは、以前よりRFIDソリューションの実現で協力関係にあったが、今回の買収によりConnecTerraのRFID対応製品とBEAのSOA(サービス指向アーキテクチャ)インフラが統合されることで、より強力なエンド・ツー・エンドのRFIDソリューションを実現することができる」と話すのは、米BEAのRFIDビジネス開発&ソリューションアーキテクチャ担当ディレクター、Peter Belkanp氏。
BEAがConnecTerraを買収し、RFIDソリューションを強化したのは、今後、RFID市場がBEAにとっても重要な市場の1つとなることが予想されているためだ。AMRリサーチが500社に行ったRFIDの利用状況の調査では、2006年末までにパイロットプログラムも含めRFIDを導入すると答えている企業が81%に上っている。
Belkanp氏は、BEAのRFIDソリューションの優位性について「小規模なパイロットプログラムレベルのRFIDソリューションを実現できる製品はあるが、大規模なRFIDソリューションにまで拡張できる製品を提供できるのはBEAだけ。拡張性の高いアーキテクチャが求められているのは時代の流れだ」と話している。
従来、ConnecTerraのRFIDソリューションは、ICタグを読み取るデバイスの管理やフィルタリングを行う「RFID Edge-Server」およびイベントの管理、タグのプロビジョニング、ロケーションサービスなどを実現する「RFID Enterprise Server」で構成されており、バックエンドのシステムとの連携には別途アプリケーションサーバやポータル製品などを導入することが必要だった。
BEA製品との統合により、ICタグの読み取りからバックエンドシステムとの連携、それを管理するためのポータル環境まで、トータルに構築できるRFIDソリューションを提供することが可能になる。
Belkanp氏は、「ConnecTerraとBEAの製品は、SOAに基づいて開発されていることから容易に統合することができた。BEA WebLogic PlatformおよびBEA AquaLogicファミリーとRFID製品群もすでに統合されている」と話す。
BEAでは、すでに「WebLogic RFID Edge Server」および「WebLogic RFID Edge Server Compliance Edition」の販売を2005年11月15日より開始しているほか、「WebLogic RFID Enterprise Server」の販売を2005年12月より開始する計画。日本語版の提供は2006年の第1四半期を予定している。
BEAのRFIDソリューションを導入しているフィンランドポストでは、約20万台のロールケージにICタグを取り付け、ロールケージの動きを管理している。1日に1000万通の手紙や小包が処理されるフィンランドポストでは、1年間に約1万7000台のロールケージが紛失していたがRFIDソリューションを導入することで、このような問題を解決し、より効率的な郵便業務を実現している。