シトリックス・システムズ・ジャパンは11月29日、NTTドコモのビジネス向け携帯電話「FOMA M1000」を使用したモバイルソリューション「Citrix Presentation Server FOMA M1000クライアント」の開発を行うことを発表した。
この発表は、シトリックスが開催した「iForum 2005 Japan」の会場で行われたもの。両社は今後、FOMA M1000から企業アプリケーションに高いセキュリティのもとにアクセスできるモバイルソリューションを共同で開発し、展開していく計画だ。
Citrix Presentation ServerとFOMA M1000を組み合わせることで、Windowsアプリケーションをはじめとする企業アプリケーションを使用することが可能。音声通話だけでなく、企業アプリケーションを利用できることで、ビジネスツールとしてより一層の普及が期待できる。
これまでにも携帯電話から企業システムにアクセスできる仕組みは存在していたが、それらは専用のアプリケーションを新たに開発する必要があるほか、データを携帯電話側にダウンロードする必要があったために大量データを使用するようなアプリケーションでは実用的でなかった。
しかしCitrix Presentation Serverを使うことで、アプリケーションはサーバ側で動作し、画面イメージだけが送られてくるために、大量のデータを扱うアプリケーションでも高いパフォーマンスで使用することができる。また、Windowsアプリケーションなどもそのまま使用できるので、新たに携帯電話用のアプリケーションを開発する必要もない。
Citrix Presentation Server FOMA M1000クライアントのデモでは、625ページのPDFドキュメントの参照やLotus Notesがストレス無く使用できることが紹介された。
シトリックスの代表取締役社長、大古俊輔氏は、「最初のログイン時に弱冠時間はかかるが、接続してしまえばLotus NotesなどもPCで使用するより早いこともある」と話す。一方、NTTドコモの取締役常務執行役員法人営業本部長である星澤秀郎氏は、「iForumのスポンサーでもないのに(笑)、Citrix Presentation Server FOMA M1000クライアントの開発を表明してもらえるのは嬉しいこと。今後は、両社で協力してビジネス向けのモバイルソリューション市場を拡大していきたい」と話している。
- 「Citrix Presentation Server FOMA M1000クライアント」を発表するNTTドコモの星澤氏、米CitrixのCEO、Mark B. Templeton氏、シトリックスの大古氏(写真右より)。
シトリックスはまた、アクセスプラットフォームの最新版「Citrix Access Suite 4.2」の発表も同会場で行っている。
Citrix Access Suite 4.2は、アプリケーションを仮想化して配信する「Citrix Presentation Server 4.0」を中核に、企業内外のシステムにシングルサインオンでアクセスできる環境を実現する「Citrix Password Manager 4.1」、SSL VPNとアクセス制御により安全で利便性の高いリモートアクセスを実現する「Citrix Access Gateway 4.2」の3つの製品で構成されている。
Citrix Presentation Server 4.0では、64ビットWindowsプラットフォーム「Windows Server 2003 x64 Editions」に対応。1台のサーバでサポートできるクライアント数を大幅に増加できるのはもちろん、パフォーマンスも向上している。同社のベンチマークテストでは、32ビット版に比べ、ユーザー数が65%以上向上することが確認されている。
Citrix Access Suite 4.2の出荷開始は2005年12月14日を予定。Citrix Presentation Server 4.0 for Windows 2003 Server x64 EditionおよびCitrix Password Manager 4.1は2005年11月29日より、Citrix Access Gateway 4.2は2005年12月14日より出荷が開始される予定。