64ビット デュアルコアの浸透でシェア拡大を目指す--日本AMD

聞き手:藤本京子(編集部)
構成:梅田正隆(ロビンソン)
撮影:立川則人 2006年01月01日 05時00分

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売上高、利益共に記録的だった2005年

 2005年は、半導体もシステムも業界全体で予想以上に伸びた年だったと思います。AMDのビジネスは、売上高、利益共に記録的な年でした。特に、サーバとワークステーション市場に参入しシェアが拡大したこと、またパソコン市場でハイエンド分野に浸透したことが大きな進歩だったと言えます。

 シェアが伸びた最大の要因として、AMDのプレゼンスが向上したことが挙げられます。ここでのプレゼンスとは、テクノロジー面でのリーダーシップを意味します。AMDのテクノロジーが競合他社と比較して優れているという事実が、企業でIT投資の決定権を持つマネージメント層の人々に良く理解してもらえたということです。

 IT投資に関して、ユーザーは実に欲張りです。パフォーマンスの向上と同時に、TCOの削減を求めてきます。さらに、信頼性やセキュリティも確保したいと言います。AMDでは、相反することを同時に満たすソリューションが提供できたと考えます。

日本AMD 代表取締役社長 David M. Uze氏

 中でも特に高く評価してもらえたのは、AMD製品がハイパフォーマンスでありながらローパワーであることです。これが、性能の向上とTCOの削減に直結するのです。個々のCPUの熱が競合製品よりも低いため、サーバラックへ高密度にCPUを実装できます。これは、特に東京のような地価の高い地域のデータセンターにおいてダイレクトなコスト削減につながります。AMDのソリューションは、パフォーマンスは上がるけれどワット量が上がらないとして、ユーザーの要求を確実に満たすことができました。

日本での売れ行きが好調なデスクトップ用CPU

 2005年は、AMD Opteronをはじめハイエンドデスクトップ向けのAMD Athlon 64、ローエンドデスクトップ向けのAMD Sempronなど、いずれもシェアを伸ばしました。例えばOpteronはワールドワイドのシェアで2004年が約3%でしたが、2005年はおよそ13%と非常に大きな伸びを示しました。また、Opteron以上に伸びたのがモバイルPC向けのAMD Turion 64 モバイル・テクノロジです。Turion 64は、発表からわずか半年で大きく成長し、その立ち上がりの勢いはOpteron以上です。

 国内において特筆すべきことは、デュアルコアのデスクトップ用CPUであるAMD Athlon 64 X2の売れ行きが、ワールドワイドでの伸びと比較して日本が一番良かった点です。これは、まさに日本のユーザーが、競合他社とAMDが提供する真のデュアルコアインプリメンテーションの違いを明確に理解した結果であると認識しています。

 エンタープライズ市場ではOpteronが大きく躍進しましたが、AMDにとってx86サーバ市場はゼロからのスタートでした。同時に企業向けクライアント市場でも急速に浸透しており、デュアルコアのデスクトップ用Athlon 64 X2や、2006年投入するTurion 64のデュアルコア製品を企業向けクライアントに持っていく計画です。

米国4ウェイサーバ市場で38%を獲得

 エンタープライズサーバ市場における一番大きな変化は、メインフレームとIAサーバの2つの選択肢に加えて、「AMDをメニューに加えていなければ調達候補にしない」といった声がエンドユーザーの間に広まっている点です。

 例えば米国Fortune誌が選ぶ「Fortune 100」の企業において、2004年にOpteronサーバを採用した企業は55社でしたが、2005年には88社で使用されています。もっと衝撃的な数字を挙げましょう。Gartnerの調べでは、米国における2005年第3四半期の4ウェイサーバ市場でAMDのシェアが38%に達したのです。これもAMDのソリューションが魅力的であることの証です。

 このようなAMDの優位性は、1999年に発表したOpteronの基本的アーキテクチャにあります。当時、AMDは「パフォーマンス/(パー)ワット」という言葉を用いて、単にクロック数だけを高めるのではなく、これからはワットあたりの性能が重要になると指摘しました。競合会社が同じ言葉を公の場で用いるようになったのは2005年9月です。まさに哲学の違いであり、AMDが顧客第一主義を貫いていることの表れでもあります。どのような製品を作ればユーザーに利用してもらえるかを考え、ニーズに応える製品をつくるというAMDのアプローチは実にシンプルですが、作れば売れるというアプローチとは全く逆なのです。

2006年はもっとエキサイティングになる

 さて、2006年のAMDは、デュアルコアOpteronの性能アップを目指すほか、ローパワーのデュアルコアOpteronや、新しいメモリテクノロジであるDDR2に対応したOpteronを出荷します。AMDは「x86 Everywhere」を合言葉に、スーパーコンピュータからハイエンドサーバ、デスクトップ、ノートブック、ローパワーのハンドヘルドデバイス、セットトップボックスなどのコンシューマデバイスに至るまで、非常に幅広い範囲の製品をまったく同じアーキテクチャでカバーすることができます。

 2006年の目標としては、エンタープライズ市場の実績を継続して高めていくことと、デュアルコアのノートブックやデスクトップなど、コンシューマーおよびハイエンドのエンタープライズクライアント市場に注力していきます。新しいアプローチとなるのはデジタルコンシューマ分野です。デュアルコアCPUを核とした映像の加工、編集を可能にするソリューションを提供します。従来はデスクトップでしかできなかったことですが、デュアルコアTurion 64搭載のノートブックでコンテンツの制作編集ができるようになります。もうひとつ忘れてならないのは、MicrosoftのWindows Vistaのリリースによって、64ビットがあらゆるプラットフォームで使えるようになるということです。ユーザーの皆様の64ビット体験は2006年の大きな話題となるでしょう。

 新しいテクノロジの出現で2006年はよりエキサイティングな年となります。というのも、AMDは眠っている大きな熊を起こしてしまったからです。熊はAMDのテクノロジーとのギャップを埋めようとするでしょう。しかし、AMDとしてはこうした熊の動きも大歓迎です。競争がイノベーションを促進しますから。こちらも熊の動きを見ながら戦略を組んでいく必要がありますが、エンドユーザーの皆様にとってもとても面白い年になるでしょう。

 日本AMDは、2006年の日本における売上を前年対比で40%伸ばすことを目標として考えています。注力したいのはエンタープライズ市場です。パートナー各社との協業で企業顧客にフォーカスしたチームを組み、エンドユーザーにとって最適なソリューションをケースバイケースで提供していきます。もうひとつの目標は、日本のユーザーとの強い絆を築くことです。日本のユーザーのビジネスを成功させ、ユーザーのビジネスの成長によって、世界市場における日本のプライオリティをどんどん高めていきたいと考えています。


David M. Uze(ディビッド・M・ユーゼ)
日本AMD 代表取締役社長
日本AMDの社長に就任して7カ月、2005年は超多忙な日々が続いた。おそらく2006年も多忙な年となるだろうが、「今年こそは子供にたくさん本を読んであげたいし、少なくとも10回はスノーボードに連れて行ってあげたい」と語る。モットーは、Believing is Achieving(信じることが実現につながる)で、いつの日かAMDのシェア51%が達成できると信じている。最近の愛読書は、孫子の「兵法」と、宮本武蔵の「五輪書」

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