アダプティブエンタープライズ実現向けた5つの「C」を展開--日本HP

聞き手:藤本京子(編集部)
構成:神永裕人(イエローリポーツ)
撮影:立川則人 2006年01月01日 03時00分

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仮想化はいよいよ実用のステージに

 米国本社のCEOが代わり、日本でも社長が代わるという、Hewlett-Packard全社にとって激動の2005年でしたが、コンパックとの合併から3年が経ち、いよいよシナジー効果が出てきた年となりました。ビジネス的には非常に好調で、特に年の後半は積極的なIT投資が幅広い領域に広がってきたと感じています。ただし、やみくもな投資ではなく、ビジネスを創造する分野、つまりお金を生み出す分野への投資に比重を置くスタイルへと確実に市場ニーズは進化しています。

 製品面では、ハイエンドからローエンドまでまんべんなくサーバの売上が伸びました。中でもPCサーバは、我々の予想をはるかに超えるほどの盛況ぶりでした。また、ブレードサーバも年の後半から順調な伸びを示し、IPF(Itanium Processor Family)版が登場した無停止型サーバである「NonStop Server」の引き合いも増えています。

 テクノロジーの面では、日本HPが早くから提案してきた仮想化がやっと具体的なシステムに活かされ始めたことが2005年の成果です。多くのお客様は、ITコストを引き下げる一方で、新しいビジネスも生み出さなくてはならないという難しいテーマに直面しています。新しいビジネスに投資する資金を調達するには、運用管理コストをセーブするしかありません。そのために有効な手段がサーバの統合であり、これを実現するためのテクノロジーが仮想化だということをHPは市場に訴え続けてきました。

 こうした取り組みが実り、仮想化技術を使って実際にシステムを構築しようというお客様が徐々に出てきています。導入事例としても紹介させていただいていますが、これは本当にありがたいことです。

中国でのビジネスが大きく成長

 また、2005年にチャレンジした中で大きな成果を上げることができたプロジェクトとして、オフショアへの取り組みがあります。HPでは2004年、中国の大連に北アジアの国々をカバーする業務センターをオープンさせていました。ここへ、国内の契約業務やコールセンター機能、開発チームなどの一部を移管したのです。移行作業は非常にスムーズで、お客様からの高い支持を得ることもできました。

 これを契機に、日本HPと中国HPとの協力体制も強化しました。中国には、現在2万5000社ほどの企業が日本から進出しています。こうした日系企業でも当然システムサポートを必要としていたのですが、これまでHPではそうした声にうまく応えきれていませんでした。

日本ヒューレット・パッカード 取締役副社長 石積尚幸氏

 そこで、日本と中国のHPとで協力し、ワンカンパニーとして日系企業に対するサポートの提供や現地セミナーの実施をはじめ、開発案件でも大連のソフトウェアセンターを活用しました。この結果、中国での業績は、前年度の7倍という大きな伸びを達成できました。

 中国はこれからも成長が見込める市場です。日本HPでは、中国HPとの連携はもちろん、パートナー各社とのアライアンスも含め、中国市場でのビジネスを引き続き展開していく予定です。

2006年は日本版SOX法対応の支援とSOAの具現化に挑む

 ハードウェアがコモディティ化し、価格も下がっていく中で、2006年はITベンダーが管理性や可用性、仮想化などのテーマでいかに高い付加価値を提供できるかが重要になると見ています。

 日本HPとしては、良いものをより安くという姿勢を維持するのはもちろん、従来から提唱してきた「アダプティブエンタープライズ(AE)」実現のため、「Continuity(継続性)、Consolidation(統合)、Compliance(法制準拠)、Control(管理)、Collaboration(協力)」という5つの「C」をキーワードとしてマーケティングを展開していく予定です。

 5Cの中でも注目すべきなのは、「Compliance」です。国内でも最近、日本版SOX法の法制化が検討されており、ITに関する規定も盛り込まれるものと見られています。2006年はこれに向けた対応が大きなテーマとなるでしょう。

 米国でHP自身がSOX法に対応し、日本HPも国内の外資系企業に対してSOX対応のコンサルティングを実施したことで、具体的なノウハウや対応のポイントを蓄えることができました。またコンプライアンス実現のために不可欠な変更管理や構成管理がサポートできるツールもそろっています。これらは、他社に真似のできないHPの大きな強みです。

 また、現時点では言葉だけが独り歩きしている感のあるSOAについても、2006年を節目の年にしたいと考えています。2005年は、AE実現のためのインフラがそろった年だといえます。NonStop ServerのIPF版投入や、複数のOSが稼動するHP Superdomeのサポート強化はもちろん、仮想化ツールや管理ツールも整備できました。次は、こうしたインフラの上にアプリケーションを構築する段階に移りますが、そうなるとSOAをどう実現するかがテーマとなるはずです。

 日本HPでは、AEのためのインフラ整備に加え、SOAの検証センターも立ち上げ、相互接続性の検証試験などを始めています。2006年はこうした力を結集し、言葉だけではないSOAが実現できる、実体を伴ったシステムづくりをサポートしたいと考えています。

携帯電話は「パーソナルバトラー」へ進化できるのか

 個人的なところで2006年に注目したいのは、携帯電話を含めパーソナルなデバイスをベースにしたサービスがどのように広がっていくかという点です。現状の携帯電話でも、すでに通話機能はオプションのような感覚になっており、インターネット閲覧や決済などのさまざまなサービスが搭載されています。

 今後、携帯電話にハードディスクが搭載されれば、次はPCと同じようにシンクライアントのような存在にまで成長するでしょう。そうなると、携帯電話が執事のように仕えてくれる「パーソナルバトラー」というコンセプトが現実になるかもしれません。パーソナルデバイスの進化の方向に対する興味は尽きません。


石積尚幸(いしづみ ひさゆき)
日本ヒューレット・パッカード 取締役副社長
昨年11月に受けた人間ドックで不摂生を指摘されて以来、朝5時に起床し、往復1時間をかけてゴルフ練習場までウォーキング、30分練習という生活を続けている。半年で5キロダイエットというのが目標。座右の銘は、李白の詩の一節「天生我材必有用」。「誰にでも優れたところがある」という意味だが、各社員の良いところを組み合わせ、チームとして目指すべき方向を示すのがリーダーの役割であることを意識しているという。最近印象に残った本は、合併とHP Wayの伝統の行方を題材にした「HP(ヒューレット・パッカード)クラッシュ」(ピーター・バローズ著、瑞穂のりこ翻訳)と、ダイエー社長(前日本HP社長)である樋口泰行氏の『「愚直」論』

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