IT Does Matter、そしてPeople Does Matter--マイクロソフト

聞き手:藤本京子(編集部)
構成:梅田正隆(ロビンソン)
撮影:立川則人 2006年01月01日 01時30分

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セキュリティ強化が進んだ2005年

 2005年のエンタープライズ市場は、個人情報保護法の施行等により、セキュリティやプライバシーに係わるインフラストラクチャの技術の進化やビジネスの成長が著しかった年だったと捉えています。

 また、緩やかな景気の回復基調にあって、企業のIT投資が積極的になってきたと感じています。プロジェクトの規模は大きくありませんが、ROI(投資対効果)の評価基準を持ったIT投資やビジネスモデルの開発が進んだ1年だったと思います。コンプライアンスやガバナンスへの対応など、数字には表れにくい投資もありますが、総じてITに対するリターンの評価基準は明確化しつつあると見ています。

出足絶好調のSQL Server 2005

 マイクロソフトにとっての2005年のエンタープライズ市場を振り返ると、様々なパートナーとともにお客様を支援することができた1年でした。特にセキュリティ強化においては、Active DirectoryやWindows Rights Management Services、Information Rights Managementといった機能の導入が進みました。

 さらに11月17日には、SQL Server 2005とVisual Studio 2005を発表しました。同日は偶然にも私の誕生日で、今後の10年を占う戦略製品をその日にリリースできたことは大きな喜びでした。SQL Server 2005の引き合いは非常に早く、マイクロソフトが担当しているプロジェクトだけでもすでに数百の案件に達しています。64ビットにおけるパフォーマンスと、ビジネスインテリジェンス(BI)機能が注目を集めました。アナリストのためのBIではなく、現場で誰もが使えるBIプロジェクトが急増しています。Office基盤との連携によりフロントエンドでBIを実現する、まさに「BI for Everyone」です。

パートナーとのSIビジネスが拡大

 パートナーとマイクロソフトとのお付き合いは、いまや基幹システム系プロジェクトからレガシーマイグレーション、さらにはSOA等の技術を用いた基盤プロジェクトなどのSIビジネスにまで発展しています。パートナーのSIビジネスに対して、マイクロソフトのコンサルティングチームが設計に参画するようになり、SI事業を支援するようなお付き合いが増えたと実感しています。

 2005年はエンタープライズ部門の陣容を約20%拡大し、お客様への支援体制を強化したことで、より深い関係に基づいたビジネスができるようになりました。同時に専門性を高め、製品やテクノロジーのスペシャリストを増員したことにより、お客様に対して的確かつタイムリーなサポートが可能になったと自負しています。

エンタープライズビジネスは日本が一番成長

 お陰様で、マイクロソフトのエンタープライズビジネスは、全世界の中でも日本が一番良いビジネスの進捗を納めることができ、アワードを獲得しました。これもパートナーとの深いお付き合いができるようになったことと、ジョイントセールスを展開できるようになった成果だと考えています。

マイクロソフト 執行役常務 平井康文氏

 現在、メインフレームマイグレーションがたいへんな勢いで進捗しています。当社のミッションクリティカル事業では数多くの案件が進行中であり、特に地銀10行の基幹系システムのプロジェクトが順調に推移していることを非常に嬉しく思っています。すでに、Team Systemを使ったレガシーマイグレーションや、SOA基盤を用いた開発プロジェクトが複数進行中です。また、2005年はインフラストラクチャの最適化にも注力しました。マイクロソフトが提供するInfrastructure Optimization Model(IOM)で、お客様によりダイナミックにインフラ基盤を活用してもらえるような施策に取り組んでいます。

日本版SOX法に対応するソリューションを提供

 2006年のキーワードは日本版SOX法でしょう。IDCのレポートによると、日本版SOX法対応に関わる2006年のIT直接投資は1000億円になると予想しています。日本版SOX対応は、経営の中でコンプライアンスに注力することを意味しますから、お客様はコンプライアンスのための新しいプロセスや仕組みを導入することで、生産性が落ちることを危惧されるかもしれません。この日本版SOX法対応に関して、マイクロソフトが果たせる役割は大きいと思っています。

 マイクロソフトは、コンプライアンスを重視しながら生産性を高める仕組みを提供することができます。コンプライアンスについて、マイクロソフトでは具体的に3つの基本要素に整理しています。1つがIT全般統制、2つめが文書管理、3つめが業務処理統制です。IT全般統制については、先に述べたIOMの仕組みでお客様のインフラを統合整備し、最適化していきます。文書管理についてはOffice 、あるいはVisio、InfoPath、ProjectなどのOffice Systemを使って、インフォメーションワーカーの生産性を高める仕組みを実現できます。3つめの業務処理統制については、SAPをはじめとするERPベンダーとの協業により、業務プロセスをより最適化する仕組みを提案します。実は、これら全体をつなぐのがITILの仕組みです。マイクロソフトにはMicrosoft Operations Frameworkがありますので、これを日本版SOXと絡め積極的にプロモーションしていきます。

 2006年の2つめのキーワードはレガシーマイグレーションです。2005年に引き続きSQL Server 2005とVisual Studio 2005、Windows Server 2003 R2の組み合わせで、より積極的に提案していきたいと考えます。できればマイクロソフトが直接プロジェクトを請け負えるぐらいの覚悟で取り組む覚悟です。

 3つめは、2005年度からスタートしているインフラストラクチャの最適化です。IOMを単なるモデルではなく、具体的なプロジェクトとして展開したいと思っています。IOMには「基本」「標準化」「適正化」「動的」といった4つのステージがあり、お客様がどのステージにあるかを調査して、足りない部分を定義しつつ提案していきます。

People Does Matter

 ひと頃、「IT Doesn't Matter」と言われましたが、やはり「IT Does Matter」だと思います。ただ、ITを主語にしてはいけないと思います。先に述べた日本版SOX法のコンプライアンスやビジネスを推進するのは人だからです。生産性を向上させるのも人であり、戦略も人がつくり実践します。つまり、「People Does Matter」なのです。人にフォーカスを当ててコンプライアンスに対応しながら生産性を上げる。インフラも人が生産性を高められる仕組みとして使っていく。BIもあらゆる人たちにツールとして利用されることで生産性を高めていく。2006年末までには、いよいよWindows VistaやOffice 12も出てくるので、People Does Matterを加速する材料が揃うと考えます。マイクロソフトのエンタープライズビジネスは、まだまだ進化していきます。


平井康文(ひらい やすふみ)
マイクロソフト 執行役常務
2006年は「テクノロジーや製品の専門性に加え、業界ごとにスペシャリゼイションを高めたい。エンタープライズに特化したマーケティング、サービス、セールスチームで一丸となってお客様の価値を訴求し、マイクロソフトに対するお客様の認識が変わるよう、地道な努力を続けたい」と語る平井氏。音楽好きで知られる。プライベートの目標はチェロのレッスン。「せめてバッハの無伴奏チェロ組曲の1番から3番まで弾けるようになりたい」と言う。MSNで「平井康文の音楽ナンダカンダ」を公開中。
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