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R・Ozzieメモ:「インターネットサービスの破壊力」 - (page 2)

文:CNET News.com Staff
翻訳校正:坂和敏(編集部)

2006-01-04 16:05

現在の状況

 1995年以降、安価なコンピューティング技術とコミュニケーション技術はわれわれの予想を上回るスピードで進化した。もはやPCやウェブ、携帯電話の存在しない世界を想像することは非常に難しい。米国のブロードバンド人口は1億人を超え、携帯電話の契約者数も1億9000万人に達し、都市部にはWiFiネットワークが張り巡らされている。これは多くの先進国に共通する傾向だ。コンピューティングは通信ネットワークと結びつき、新しいPCを購入すれば、インターネットに高速接続できるのは当たり前と考えられるようになった。職場でも、自宅でも、ホテルや学校、コーヒーショップでも、ネットワークに接続するだけで、ノートPCは「仮想オフィス」となり、情報を処理し、他者と交流することが可能になった。ハードウェア、ネットワーク、ソフトウェア、そしてサービスの普及と急速な革新は好循環を生み出した。革新のペースには一向に衰える気配はない。開発者であること、技術のユーザーであることが、これほど刺激的だった時代はない。

 われわれは数々の目覚ましい方法で、製品にインターネットを取り入れてきた。たとえば、われわれはデスクトップをインタラクティブなインターネット閲覧、メディア、コミュニケーションアプリケーションのためのリッチなプラットフォームに変えた。Windowsはインターネットアプリケーションとサービスにとって最良のインフラとなり、.NETは世界で最も人気のある開発プラットフォームとなった。Officeやその他のIW(Information Worker)製品には、XML、HTML、RSS、SIPといった標準が取り入れられた。MSNチームは素晴らしい技術革新を成し遂げ、変化の激しい市場でライバルと互角に戦っている。特に「MSN Spaces」の成長は目覚ましく、またMessengerのユーザーも世界全体で1億8000万人に達し、現在も増加の一途をたどっている。さらに、Xboxチームも巨大なユーザーコミュニティを構築し、インターネットを利用した「ライブ」機能が、重要で強力な差別化要因となることを証明した。

 このように、われわれは数々の大きな進歩を成し遂げたが、それでもわれわれの取り組みが達成できたはずのレベルに到達したとは必ずしもいえない。豊富なウェブ資産を活用し、OWAのような先駆的な活動を続けていれば、われわれはAJAXの潜在能力をどの企業よりも効果的に活用できていたはずだ。われわれは検索の重要性も理解していた。しかし、検索に焦点を絞り、確固たる地位を築いたのはGoogleだった。われわれは通知シナリオにもかなり以前から取り組んでいたが、これはRSSという技術によって実現した。RSSは「インターネット版のUNIXパイプ」であり、人々はRSSを使って、予期せぬ方法でデータとシステムを結びつけている。Officeは革新的な製品であり、HTMLやXMLにも対応しているが、主要なウェブデータフォーマットを生み出すには至っていない--少なくとも、PDFの域には達していない。MessengerとCommunicatorの豊富な機能も、他社の先を行くものだったが、VoIPを普及させ、新しいカテゴリを創出したのはわれわれではなく、Skypeだった。また、われわれは何年も前から、モバイルメッセージシナリオの重要性を認識し、デバイスソフトウェアに膨大な資金を投じてきたが、今ようやくBlackberryを抜いたところにすぎない。

 これらの多くの面で、われわれは順調に歩を進めているが、われわれの周囲には、インターネットサービスとサービス対応ソフトウェアに狙いを定め、敢然とした態度でビジネスを進めているライバル企業がひしめいている。これらの強力なライバルのうち、最も注目を集めているのはもちろんGoogleだ。しかし、Googleをめぐる報道は過熱しているので、同社が展開している多彩なイニシアティブのどれが広告事業の拡大を狙ったもので、どれがわれわれの製品を脅かすものとなるのかを見極めることは難しい。Yahooもソフトウェアとサービスからなるコミュニケーション関連資産を豊富に有しているが、同社はむしろメディア企業であり、広告プラットフォームという注目すべき例外を除けば、Yahooのプラットフォーム能力は主に内部資産として利用されているように見える。Appleも同様だ。Appleは「.Mac」「iPod」「iTunes」を利用して、ハードウェアとソフトウェア、サービスを統合し、ユーザーにシームレスなエクスペリエンスを提供するといううらやましい仕事を成し遂げた。しかし、外部の開発者が重要な製品やビジネスを構築できるようにすることには、同社はあまり力を入れていないように見える。

 こうした変化は大企業にとどまらない。新興企業や草の根レベルからも、新しいソフトウェアやサービスが続々と登場している。重要な新潮流として、私がブログとwikiに言及したのは数年前のことだったが、今やこの2つの技術は主流に踊り出ており、大企業にも取り入れられるようになっている。「Flickr」などの企業は、コミュニティによる共有と、シンプルなデータフォーマットとメタデータに基づくタグを利用して、革新的なサービスを構築した。「GoToMyPC」と「GoToMeeting」は、PCへのリモートアクセスとオンライン会議を安価に実現するソリューションとして人気を博している。クロスデバイスファイルや遠隔メディアアクセスの分野では、数多くの新興企業が興味深いソリューションを提供している。VoIPはまもなく爆発的に普及するだろう。その徴候はSkypeだけでなく、「Asterisk」のようなソフトウェアPBXにも見て取ることができる。RADフレームワークから軽量のプロジェクト管理サービス/ソリューションに至るまで、小さな企業が提供する革新的な製品は枚挙に暇がない。

 多くの新興企業はインターネットをプラットフォームと位置付けている。草の根レベルでは、「vCards」や「iCal」などの標準を積極的に活用して、連絡先やカレンダーを共有するプロジェクトが進行中だ。その大半はデータを共有するために、何らかの形でRSSを利用している。XMLやREST、WSを使って、複数のウェブアプリケーションをリミックスしたり、融合させたりしているものも多い。マッシュアップの興味深い例としては、地図と賃貸アパート情報を組み合わせたもの、単独で利用されていたシステムやデータにRSSフィードを載せたものなどがある。開発作業の途中で何らかのツールやライブラリが必要になったとき、開発者はインターネットを検索し、必要なものをダウンロードしてくることができる。ウェブ上になければ、新しいものを開発したり、既存のものを組み合わせてもよい。それを実際に使ってみて、さらに調整を加える。重要なのはスピード、シンプルさ、そしてゆるやかな結合だ。

 これらの新興企業が提供する製品は、「サービスプラットフォーム」を導入することによって、さらに改善することができる。皮肉なことだが、急速な技術革新を可能にし、その触媒となったものが、成功の阻害要因になることがある。ハードに関する問題は無視されることが多いが、事業規模の拡大はその最たるものだ。規模に関する問題は、技術に関係していることが少なくない。これは新興企業の製品の多くが、大規模なサービスプラットフォームではなく、アプリケーション・サーバプラットフォーム上で構築されていることに起因している。また、新しいサービスはユーザーコミュニティを、通常は口コミによって、ゼロから構築しなければならない。多くのサイトはシンジケート広告を利用して、サイトの運営費用を捻出しているが、事業規模を拡大しようとすると、とたんに大きな壁にぶちあたる。ユーザーエクスペリエンスにクライアントソフトウェアを組み込もうとしている企業もあるが、そのためにはソフトウェアの配備、更新、コミュニケーション、そして同期のメカニズムを作り替えなければならない。ユーザーIDやサービスの相互運用性を維持するメカニズムは、相変わらず不必要に細分化されている。直感的にいって、プラットフォームの分野には、迅速な革新の条件であるスピード、シンプルさ、そしてゆるやかな結合を損なうことなく、こうした機能を開発者に提供するチャンスがある。

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