SAPジャパンは1月30日、2006年1月からの新会計年度開始に合わせた戦略発表会を行った。
- SAPジャパン、代表取締役社長のRobert Enslin氏
SAPジャパンの代表取締役社長であるRobert Enslin氏は、2005年度の日本おけるソフトウェア関連の売上が前年比で8%増、総売上が同7%増と好調だったことに言及。「2005年度は、2001年度以来の好業績。この成長を踏まえつつ、回復基調にある日本経済の状況や、継続する構造変化をSAPにとっての好機ととらえ、一層の成長を目指す」(Enslin氏)とした。
2010年に向けた中長期の目標としては、「“業界標準”のビジネスアプリケーションベンダーの地位を確立」「パッケージソフトの活用度が比較的低い、金融、公共、小売の3業種で最大のソフトウェアライセンス提供を行う」「中堅市場向けのパートナービジネス強化」「ESAプラットフォームとしてのSAP BPP(ビジネス・プロセス・プラットフォーム)の確立」を挙げた。これらを踏まえ、2006年度においては、「顧客価値の向上」「パートナーと共に成長」「人材の最大活用とさらなる能力開発」「技術革新」の4点に注力するという。
顧客価値の向上に向けた具体的な施策としては、SAP製品によって得られる経営効果を試算・測定し、顧客に具体的に提示することで導入を促す「バリュー・エンジニアリング(VE)」と呼ばれる手法を充実させていくほか、顧客企業の経営層との対話によって、よりインタラクティブな関係の構築を目指す「Let's Talkキャンペーン」を展開する。
戦略実現に向けた組織改革も合わせて行う。営業組織をよりセグメント化し、中堅・中小企業向けの地域営業本部、製造や流通といった主要業種別の営業本部、金融・公共向けのストラテジック・インダストリー営業本部といった形で、個別の営業本部を据える。さらに、マーケティング、アライアンス、ソリューション、コンサルティング、バリュー・エンジニアリング、サポート、セールスオペレーションといったすべての部門に、これらの営業本部を支援する担当を置くことで、「ワンチーム体制で顧客満足度の向上を目指す」(Enslin氏)とした。
加えて、組織面では「ESA Office」を新設し、同社の提唱する「エンタープライズ・サービス・アーキテクチャ(ESA)」の展開を加速していく。SAPジャパン副社長、ソリューション&マーケティング統括本部長の玉木一郎氏は、「NetWeaverによるシステム統合により、アプリケーションについてのESAはほぼ完成したと言ってよい。今後は、さらなるシナリオの拡充やリポジトリの整備などにより、インテグレーションのプラットフォームからビジネスのプラットフォームへと移行していく」と述べた。
同社が確立を目指すビジネスプロセスプラットフォーム(BPP)は、他社製品を含むアプリケーションの統合プラットフォームとして登場した「NetWeaver」をベースとし、よりモジュール化を進めたコンポーネントの組み合わせによって自社開発のシステムに匹敵する柔軟な構成を実現するもので、ESA実現に当たってのカギとなる。SAPジャパンでは、ISVコミュニティの形成やパートナーとの関係強化によって、幅広い業種や業務に対応したソリューションの提供を目指すという。