また、別のモジュールを使って、複数の仮想デスクトップ上に配置されたアプリケーションを表示する機能もLinuxには新しいものだ。この機能を利用すると、たとえばあるデスクトップには電子メールソフトを、もう1つのデスクトップにはウェブブラウザを、さらに3つめのデスクトップには開発中のプロジェクトに関連した画面を表示するといったことが可能になる。Xglでは、仮想の立方体の各表面にデスクトップを表示させ、この立方体を回すことで別のデスクトップを見ることもできる。「仮想のワークスペースがどんなものかが、これならはっきりとわかる」(Friedman)
さらに、キーワードを使いながら複数のウィンドウを切り替えるといった使い方もできる。Xglのプラグインには、最小化されたファイルを表示し、ユーザーがどのファイルに切り替えようとしているかを詳細に把握できるようにするものもある。同じように、Xglでは素速くウィンドウをズームさせることもできるが、これは視覚障害者を助ける拡大用ソフトウェアにとって大きなメリットとなると、Friedmanは説明した。
Xglは、X.orgのソフトウェア開発プロジェクトに一部になる予定だ。X.orgはLinuxの画面表示に関する基本的な部分を多く扱っているもので、また実際Linuxのほかに、X.orgを利用するUNIXも多いことから、Sun Microsystemsの「Solaris」やBSD系のUNIXでXglを利用するといったことも考えられる。
Friedmanによると、Xglはすでに X.orgのソースコードと「ほぼ統合された状態」にあるという。Novellでは今週カリフォルニア州サンタクララで開かれる「X Developer Conference」に合わせて、XglをX.orgに提供することを7日に発表する予定だ。リードプログラマのRevemanは同イベントで8日にXglに関するプレゼンテーションを行う。
Linuxのインターフェースを改良することはNovellの優先課題となっている。同社は2003年に、デスクトップ用Linuxを専門に開発していたXimianを買収。Linuxの使い勝手向上を目指す取り組みのなかで、同社はLinuxの開発に携わるプログラマに対して、コンピュータユーザーが基本的なタスクを実行するのに四苦八苦している様子を撮したビデオを見ように求めたことがあった。
しかし、Linuxのユーザーインターフェースに関わるある厄介な問題も消えてはいない。それは、KDEとGNOMEの分裂だ。Linuxユーザーの人気を2分する両パッケージには、それぞれ異なるユーザーインターフェース関連機能やユーティリティ類が含まれている。この違いが、デスクトップマシンへのLinuxの普及を妨げるハードルとなっていると、アナリストのCherryは述べている。
「GNOMEを使うべきか、それともKDEにすべきかの判断がつけずらい。どちらにも好きな部分と嫌いな部分があるからだ」(Cherry)
GNOMEとKDEはどちらも「X.org」を使用していることから、Xglはこの問題を回避できるとFriedmanは言う。
Xglは、開発者がユーザーインターフェースの動作を変更するためのエフェクト用モジュールとなるプラグインをつくれるようフレームワークで、たとえばNovellのプログラマーは、一番の競争相手であるRed Hatから借用した、ジェラチン状にウィンドウが震えるエフェクトをXglを使って再現している。
XglはOpenGLのインストラクションセットを利用する。OpenGLは、3D描画の標準としてさまざまなグラフィックカードがサポートしているものだ。ただし、Xglには1つ面倒な問題もある。このアプリケーションは、良質な3D対応グラフィックドライバーソフトと組み合わせた場合に最良の効果を発揮するが、そうしたソフトは通常NvidiaやATIなどのメーカー側が提供するプロプライエタリなものであることが多い。オープンソースプログラマのなかにはプロプライエタリなドライバーソフトの利用に反対する者もおり、またLinuxには、Red HatのFedoraのように、プロプライエタリなドライバーソフトを受け入れないバージョンも多い。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ