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Opteronを中心にシェア拡大を目指すAMD:プロセッサメーカーの歩む道 - (page 2)

藤本京子(編集部)

2006-02-08 20:21

ワット性能を向上させる

 こうしたプロセッサの性能そのものに結びつく技術革新のみならず、AMDでは消費電力を抑えることにも注力している。同社では、これまでも消費電力あたりのパフォーマンスが重要だとしていたが、2006年にはこれを「ワット性能(Performance per Watt)」という言葉に置き換え、「ワット性能の向上」を戦略のひとつとして掲げている。

 通常プロセッサは、負荷がかかっていなくても電力はそのままだが、AMDではプロセッサのワークロードに応じて消費電力を自動的にコントロールする「Power Now!」(サーバ用)または「Cool 'n' Quiet」(デスクトップ、モバイル用)という技術をCPUに実装しており、無駄な電力が発生しない仕組みを提供している。多田氏は、「競合メーカーでも同様の技術が実装されているが、AMDでは競合よりも数年早くこの技術を製品化している」と述べ、同社の技術に実績があることを強調した。

日本AMD マイクロプロセッサ ソリューション本部 本部長 多田和之氏

 また、チップの設計においても消費電力を抑える技術が採用されている。それは、IBMと共同開発した半導体テクノロジー「Silicon on Insulator(SOI)」と呼ばれるもので、チップの電流漏れという課題に対処するため、ウエハに絶縁層を作ることで漏れ電流を防いでいる。

 これらの技術により、デュアルコアでも消費電力をシングルコアレベルまで抑えることが可能だと多田氏は話す。同氏は、「他社製品と比べると、同じ処理に対する消費電力が少ない。そのため、特に大規模なデータセンターなどではランニングコストを大幅に削減できる」とアピールする。

AMDのプラットフォーム戦略

 インテルが「Viiv」という名称でデジタルホーム向けプラットフォームを発表したのに続き、AMDは2006年1月に開催されたイベント「2006 International CES」にて「AMD LIVE!」というデジタルホーム向けのプラットフォームを推進すると表明した。ただ、現時点でその詳細は明らかになっておらず、多田氏も「仕様や詳細は6月に発表予定」と述べるにとどまっている。

 ただ方向性としては、「AMDは、ベンダーがすべてを決めた上で“これがデジタルホームのスペックだ”とユーザーに提案するつもりはない。プラットフォームのコアとなる優れたプロセッサは提供するが、ほかのコンポーネントはユーザーがニーズに合わせて自由に選択できるよう、オープンに展開する。どちらかというと、パートナーの戦略の中にAMDのコンポーネントを位置づけてもらう形だ」と多田氏は説明し、同社のデジタルホーム向けプラットフォームがオープンでエンドユーザー重視であることを強調した。

 「特に日本では、家電の技術が非常に進んでいる。こうした各家電メーカーの優れた技術と、AMDの持つプロセッサの技術をユーザーニーズに合わせてうまく組み合わせ、より価値の高いものを提供したい」(多田氏)。これは、AMDがPCの分野で歩んできた道と同じだ。AMDでは、PCのチップセットも自社で提供せず、サードパーティー製のものを用意し、複数のソリューションの中から選択できるようにしている。この方針がAMD LIVE!にも適用される。

 また、AMDではOEMパートナーに向けたモバイル製品用の推奨プラットフォーム「Yamato」を提供している。これは、AMD LIVE!のようにエンドユーザーに向けたものではなく、あくまでもOEMの設計サイクルを短縮させるためのサンプルプラットフォームという位置づけだ。こうしたプラットフォームを用意する意義について多田氏は、「特にモバイル製品は設計が困難で、スペースや重さなどに制限がが多い。そのためPCメーカーも、モデルチェンジの際には開発コストや開発時間などの負担が大きくなる。それをできるだけ軽減してもらうことが目的だ」と話す。同社ではYamatoだけでなく、モバイル製品向けのプラットフォームプロジェクトが複数進行しているが、プロジェクトの数は明らかにしていない。

企業向け営業を強化

 サーバ向けプロセッサのOpteronにより、エンタープライズ市場でシェアを徐々に拡大しているAMDだが、日本の主要サーバベンダーはいまだOpteronの採用に至っていない。

 そのためAMDでは、Business Development Executive(BDE)という市場開発営業部隊を設置し、企業向けの営業活動を強化する。これまで同社は、プロセッサメーカーとしてOEMパートナーの裏方に回るのみで、直接エンドユーザーに接する機会がなかった。そこでBDEでは、「エンドユーザーに対する直接的な営業活動を行うことで、AMDの良さを幅広く理解してもらう」(多田氏)という。

 2007年には、Opteronは4コアを採用する予定だ。これにより「限られた市場だけでなく、一般的な業務アプリケーションでもOpteronが使いやすくなる。Opteronが企業に入ることにより、AMDの認知度が向上し、企業内でのデスクトップやモバイルPCの採用にも結びつくように持って行きたい」と多田氏は述べ、Opteronにかける意気込みを語った。


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