--マクロメディアの統合以来、アドビでは「エンゲージメントプラットフォーム」という言葉を頻繁に使っているようですが、その意味するところを、もう少し詳しく説明してください。
プラットフォームというのは、人々がその上に何かを構築するために利用する基盤だと定義できます。
アドビとマクロメディアの統合による顧客のメリットは、コンテンツの作成から導入展開、さらに表示までのすべてをアドビの技術を使って行えるようになることです。これまで別々の会社が提供していたツールや技術が、ひとつのプラットフォーム上で融合していきます。
アドビは、ツールのスイート製品を提供しており、プロのクリエイター、ホビースト、開発者、ビジネスプロフェッショナルといった人々が、さまざまなコンテンツを作成し、アプリケーションを開発するための環境を提供しています。そこから生み出されるのは、リッチメディアであったり、ドキュメントマネジメントであったり、SOAであったりしますが、これらがひとつのプラットフォーム上で融合することにより、より良いコミュニケーションが図れるようになるのです。
つまり、「エンゲージメントプラットフォーム」とは一つの環境であり、そこには開発のレイヤ、アプリケーションのレイヤ、PDFやFlashといったプレゼンテーションのレイヤのすべてが含まれます。人々がコンテンツにアクセスする際には「エンゲージメント」、つまりコンテンツとの「かかわり方」を選択するわけですが、その時にぜひとも我々のプラットフォームを利用してもらいたいと考えているわけです。アドビのミッションは、人々が充実感や魅力を感じるようなコンテンツを展開できる製品を用意し、多くの企業がそれを使って、より深いインパクトを与えるメッセージを発信できる環境を整えることです
--戦略説明会では、今後注力する分野として「エンタープライズ」「コンテンツクリエーション」「モバイル」の3つを挙げていました。その中でも、今後特に力を入れていくセグメントはどれになりますか。
今現在、日本での事業のコアとなっているのはプロフェッショナルマーケットです。そこでは、アドビのテクノロジーによる、デジタルコンテンツのマルチメディア展開が行われています。中でも、特に成長が際だっているのが「Flash」と、携帯電話や電子機器向けの「Flash Lite」です。今後も、ハードウェアベンダー、電気通信事業者、端末機器メーカーなどと協力し、次世代の携帯端末におけるFlashの広域展開に力を入れていきます。
それに加えて、今後特に集中的に展開するのが、PDFを核としたインテリジェントドキュメントの分野です。サーバベースのAcrobatをはじめ、ドキュメントのワークフローやXMLのデータ交換などに必要な機能を提供する「LiveCycle」シリーズの製品群を推進していきます。
--インテリジェントドキュメントの展開に当たり、米国と日本の市場性の違いはどこにあると考えていますか。
米国のインテリジェントドキュメントは、各企業によって独自に展開されています。それに対して日本では、販売パートナーやSI業者と情報交換を行いながら、彼らの顧客の導入展開に対する支援を行っていく必要があります。こうしたパートナーに対する啓蒙活動や、共に発展するための施策を進めていきます。
現在、パートナーがアドビのテクノロジーを用いて開発を行う場合には、ASN(Adobe Solutions Network)を通じて、日本のスタッフによる教育やサポートが受けられます。また、彼らがさらに深い知識を必要とする場合にサポートを行う、新たなプロダクトセールスグループも作られます。