東レとNTTドコモの活用事例:“再離陸”するビジネスインテリジェンス(2)

田中好伸(編集部) 2006年03月02日 03時42分

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 特集の2回目となる今回は、イベント(ガートナー ビジネス インテリジェンス サミット 2006)で紹介された2つの導入事例を紹介しよう(特集の第1回目はこちら)。

営業改革のためのBI

 導入事例の1つめは、繊維・化学メーカーである東レの営業改革にBI(ビジネスインテリジェンス)が活用された事例だ。紹介したのは、東レの情報システム子会社である東レシステムセンターでEソリューション事業部EC1課長を務める池田幸一郎氏だ。

 東レは中期経営計画として、2002年から「New Toray 21」を、2004年からはその続編とも言える「NT-II」を展開しており、NT-IIの中で事業構造改革という課題が掲げられ、その一環として営業改革が掲げられることとなった。営業改革を進めるうえで立ち上がったのが“IT武装化”プロジェクトだ。そのコンセプトについて池田氏は、「ITによる業務の効率化は当然。これは前提条件であり、必要条件でしかない。進めたいのはITを使って業務そのものを改革することであり、これが十分条件である」と説明している。

 営業改革の中でのIT武装化を進めるにあたり、営業部門に共通して示された課題が(1)間接業務の削減・効率化、(2)データに基づいた業務改革――の2点だ。この「データに基づいた業務改革」を解決するために導入されたのが、東レ内部で「マネジメントシステム」と呼ばれるBIシステムである。

既存データの活用が前提

 マネジメントシステム導入以前に営業部門内部で認識されたのが(1)営業システムの情報系システム、(2)紙ベースの定型帳票、(3)事業スタッフが作成する損益関連資料――の3点に集約されたと池田氏は説明する。(1)では、タイムリーなデータ入手が難しく、出荷担当者など営業部門以外の他人の手を煩わせることが問題とされた。(2)の場合、紙をベースとしているだけにコストが問題視され、またデータの2次利用ができないことも課題となっていた。(3)については、営業部門以外の部署が損益関連資料を作成していたために、必ずしも営業マンが欲しい資料とはなっていなかったことが問題とされ、そのために、蓄積されたデータを営業に役立つ情報に変えることを営業マン自らできるようにしたいとの要求があげられたのである。

 これらの課題を解決するものとして掲げられたシステムのコンセプトは(1)既存のデータを利用、(2)役員から担当者まで営業部門全員が使える、(3)数量や売り上げだけではなく、利益、経費、在庫も確認できる、(4)資料作成など業務効率化だけでなく、営業の課題分析が行える――と決められた。(1)は、導入されたシステムに新たにデータを入力せずとも、分散しているデータを整理統合すれば、役に立つと考えたためだ。

営業部員自らが課題を分析

 ツールの選定について池田氏は「OLAP(多次元データ分析処理)ツールかレポーティングツールか迷ったが、営業部員自ら課題を分析できることからOLAPツールに決定した」と説明している。このほか操作がしやすいウェブ対応であることや導入実績の多いことなどを勘案して、コグノスの「Cognos PowerPlay」の導入に決定している。PowerPlayは、エンドユーザー自らがが顧客データや販売データなどを地域別や製品別、時系列などさまざまな視点から分析できるのが特徴だ。

 導入されたマネジメントシステムでは、当初の狙い通りに既存のデータ資産を活用している。センターホストからは売り上げや在庫データ、SAP/R3で稼働する会計システムからは費用データを、管理会計システムからは損益と費用のデータを持ってきて、PowerPlayのサーバ上で多次元キューブを作成し、それを各エンドユーザーがウェブブラウザ上で閲覧・分析するという形態である。日次データとしては売り上げ/粗利益、配賦前費用などを閲覧・分析し、月次データとしては売り上げ/粗利益、総費用、純利益、長期在庫などを閲覧・分析できるようにしてある。なお、多次元キューブは日次データも月次データもバッチ処理で作成されている。

 日次データは前日までの販売実績が取れ、月次目標に対しての進捗状況を示すことで、次に何をすべきか営業活動に生かすことができているという。また日次データは、担当者別、品種別に表示することも可能だ。月次データについては、原価差額や配賦経費までを含めた確定損益を表示。それらのデータは担当者別、取引先別、用途別にドリルダウンできるようになっている。

隣の課を助ける

 実際のシステムは、ユーザー数が550人、サーバはCPU4でメモリ2Gバイトで計3台で稼働。マネジメントシステムを使う際のIDは部課単位に発行している。ユーザーは「1つ上のレベルまで、つまり課員や課長は部まで、部長は部門まで参照できる」(同氏)ようになっている。これにより「隣の課のデータを見て助けるという現象が起きている」(同氏)という。なお東レのシステムでは、先物管理など営業部門ごとの事情にあわせた特別な機能と画面などのカスタマイズがされている。

 システムの開発は、東レ内部の情報システム部門が概要設計・運用設計を担当し、池田氏の所属する東レシステムセンターが実際のシステム開発とシステム運用を担当している。またシステムが稼働してからの利用推進や支援、指導については「EC推進室」と呼ばれる部署が担当することになっている。

全社一斉は難しい

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