オートデスクは3月2日、同社の主力製品「AutoCAD」の最新バージョン「AutoCAD 2007」を、2006年3月中に出荷すると発表した。
AutoCAD 2007では、イメージ制作および詳細な設計図面の作成をよりビジュアルにするコンセプトデザインやプレゼンテーションなどの機能が大幅に拡充された。オートデスクでは、この新バージョンを2次元CADに慣れた設計技術者が容易に3次元CADへと移行できる作業環境と位置づけている。
中でも、設計段階のコンセプトデザインをCADシステム内で行えることが最大の特長。クリエイティブスタッフや外部のクリエイターが大きな役割を占めるコンセプトデザインプロセスにもAutoCADのプロセスを拡大することで、クリエイターを同プロセスに取り込めることから、工数の大幅な削減が期待できる。
なお、AutoCAD 2007で作成したコンセプトデザインのデータは、同社の「Autodesk Revit」や「Autodesk Inventor」などの3次元設計ツールに取り込むことができる。
また同社は、2次元CADの新バージョン「AutoCAD LT 2007」も3月中をめどに出荷する。新バージョンは、ダイナミックブロック編集や画層管理機能などを搭載し、上書き不可能でファイルサイズの小さいDWFファイルを下書きデータとして取り込めるDWFアンダーレイ機能も備えている。
価格は、AutoCAD 2007が71万4000円、AutoCAD LT 2007が17万8500円。価格はいずれも税込み。アップグレードユーザーには割安な価格で提供する。また、4月20日までの期間、先行予約アップグレードキャンペーンおよび下取りキャンペーンを開催する。詳細は同社Webサイトで告知されている。
さらにオートデスクでは同日、Linuxベースのビジュアルエフェクトシステム「Discreet Inferno」の出荷を開始したことも明らかにした。すでに4台を受注しており、3台を出荷済み。初期ロットのユーザーは、IMAGICAウェストおよびオムニバス・ジャパン。
Infernoは、ビデオ、HDTV、2Kデジタルシネマ、4Kフィーチャーフィルムプロダクション向けに、インタラクティブな3Dデザイン環境を提供する製品。たとえば子どものスパイが活躍するアドベンチャームービー「スパイキッズ」で、デジタル映像の車が海に飛び込む際の水しぶきを表現するなど、マルチレイヤーのコンポジット作業やトラッキングに効果を発揮する。
Inferno on Linuxでは、新たにAMD Opteronデュアルコア・テクノロジーとNVIDIAグラフィックスカードを採用。ユーザーフィードバックとモジュールパフォーマンスを高速化した。Intel Xeonのハイパフォーマンス・パラレルサーバ・プロセッシング機能も搭載しており、合計20のCPUが実装されている。これにより、4Kの高解像度画像でもストレス無く扱えるようになる。
なお、今回出荷発表されたLinuxベースの同製品は、日本市場でのニーズに合わせて開発された。オートデスクのメディア&エンターテインメント部門が、特定の市場に向けて製品を開発/出荷するのは今回が初めて。価格は問い合わせ。