「BRMSはナレッジワーカーに革命をもたらす」とアイログのCEO - (page 2)

末岡洋子

2006-03-24 22:27

 「ビジネスユーザーは、Excelなどのビジネスアプリケーションを使うとき、まずやってみて結果をみる、というアプローチをとる傾向が強い。Rule Scenario Managerは、これと同じような体験を実現する」とMcClintock氏。

 ILOGは、Javaルールエンジンをリリースした当初から、性能を大きな差別化としてきた。最新版でも、RetePlus、Fastpathの2つの実行モードにより、拡張性とスピードの両方を改善している。

各業界で採用が広がるBRMS

 ILOGのチーフプロダクトオフィサーであるJean-Francois Abramatic氏は、BRMSのメリットとして、1)ビジネスプロセスの迅速な実装によるタイム・ツー・マーケット、2)応答時間の短縮による顧客満足度の改善、3)法規制への遵守などを挙げる。

 4、5年前にBRMSが登場した当初は通信業界などで採用が進んだが、現在同社は500社以上の顧客を抱える。その業種はテレコムのほか、財務/金融、保険、小売店、政府などに範囲を拡大しつつある。

ILOG チーフプロダクトオフィサーのJean-Francois Abramatic氏。

 Abramatic氏は現在のBRMSについて、「適用にあたって大きな障害はない。だが、新しいコンセプトであり、受け入れられるのに時間が必要だろう」と見る。大きな促進要因となるのがROI(投資利益率)の測定だが、JRules 6.0ではROIを実感できるため、「適用をさらに加速するものになる」と同氏は話している。

 今回のイベントでも、仏国鉄SNCFの貨物事業であるSNCF FretがJRulesを使って貨物の受発注、課金などのバックオフィスシステムをテスト運行している事例が紹介された。5年計画の大規模な企業再編を敷いている同社は、JRulesを用いてシステムの簡素化とコスト削減を狙う。

 同社でカスタマーサービスバックオフィスマネージャを務めるIdriss Elasri氏は、「他社との(貨物車の)乗り入れを含め、料金タリフがあまりに複雑になっていたことがBRMS導入の最大の理由」と明かす。

 同社では、現在、仏国内から毎月5万件、国外から毎月7万件の受注があり、年に約18万件の請求書作成処理が発生している。導入前には、国際料金タリフを適用する場合などを中心に、毎月1万2000件の評価を手作業で作成していたという。

 同社は、約20年前に構築した国際サービス用、国内サービス用の2種のアプリケーションをひとつのエンジンとして統合することで、システムを簡素化する計画だ。すでに2万4000種類ある料金タリフのうち、半分の約2万2000をビジネスルールとして分離し、課金処理に要する時間を2割削減したという。

導入の課題はビジネスルールの抽出

 BRMSは、アプリケーションサーバなどのプラットフォームが不可欠となるが、ILOGは、SAP、IBM、Microsoft、BEA Systems、Oracleといったベンダーと提携している。BRMSと補完の関係にあるBPMは、すでにIBMやMicrosoftなどが力を入れ始めている分野であることから、これがBRMSにスポットを当てることにもなりそうだ。

 だが、課題がまったくないわけではなさそうだ。

 BRMSでは、SNCF Fretのようなマイグレーション事例が多いはずだが、ここでユーザーが最初にぶつかる壁が、ビジネスルールの抽出だ。企業の規模や事業内容にもよるが、手間を要する作業となることは避けられない。BRMSの実装の前提となる作業であり、ここを解決する技術は、「残念ながら、ない」とMcClintock氏。ユーザー側で乗り越える必要があるが、自社のビジネスを見直すきっかけになるかもしれない。

 BRMSの今後だが、ILOGでは将来的に、ビジネスルールをKPI(Key Performance Indicator)のようなビジネス評価手法と結びつけるようなことも計画中という。なお、日本のILOG担当者によると、JRules 6.0は完全に日本語化される予定で、日本語版のリリースは約1年後になる見込みだ。

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