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メインフレームのDNA - (page 2)

三木良雄(日立製作所)

2006-03-29 13:07

予測性と結果保証

 読者の皆さんにも、対価を頂戴するに値するJOBの要件とは何かを思い浮かべて頂きたい。ここでは、筆者の独断であるが、「予測性」「結果保障」「統一性」を重要な要件として掲げさせて頂く(表1)。

表1 業務(JOB)の要件

 まず、実際の作業(WORK)にとりかかる前に、そのJOBに必要なリソースがあらかじめ予測可能であることが重要である。一般的な商取引では、見積価格や納期、その他の取引条件が不明確なまま仕事に取り掛かることはない。つまり、仕事に対する「時間」「価格(費用)」「資源」があらかじめ規定可能であり、かつ、その「観測」が仕事を依頼する側、される側でできることが必要である。やってみなければ、わからないような仕事はJOBではない。

 さらに、当然のことであるが上記のように事前に規定された内容がその通り実施されなければ何の意味もない。その全体の一貫性と約束の一元化が「統一性」であり、実施すること自身が「結果保証」である。具体的には、内容の「正当性」だけでなく、仕事の実行にかかわる保障も必要であり、必ず結果は得られるという「信頼性」「継続性」はRASの回で述べられられた通りである。

 また、「例外規定」により何らかの障害・異常事態が仕事途中に起きたとしても、その障害に応じてどのような結果になるのかはある意味明確でなければならない。“パソコンが固まる”といった表現が残念ながら世間に定着しているが、いったい何が起こったのか判らない、仕事の結果はどうなってしまったのかも判らないといった状況はJOBにあってはならないのである。

JOB環境とメインフレームの進化

 メインフレームは企業活動、社会活動を根底から支えるJOBを着実に実行すべく進化した。命令プロセッサ以外に分散した数多くの処理機構は、たとえば、同じ量の基幹データを外部記憶に保存する際の、圧縮の有無や圧縮比率の大小による処理時間のばらつきを解消し、JOBとしての「時間保証」を確保する。また、高度に多重化された構成部品は高い装置信頼性を実現するとともに、JOBの確実な実行とその継続性を保証する。

 さらに、個別JOBの実行により実現される企業活動や社会活動を発展的に支えるために、稼動中にでもプロセッサ、メモリ、周辺装置の増強を可能とする柔軟性を備えた。そして、これらの特徴は筐体として一つにまとめられ、その全体が一元的なシステム運用管理という自律神経系によって、生物的進化系に育ったのである。

収斂進化

 進化論の用語に「収斂進化」という言葉がある。これは系統の異なる生物であるにもかかわらず、同様な環境に置かれ進化を継続したときに、その身体的特徴が類似してくる現象である。たとえば、哺乳類のイルカと魚類のマグロは高速で水中を移動するという観点で、極めて似た形態に進化している。ついでに申し上げれば、潜水艦も同じような形である。

 今回の記事の前半で、ワークステーションやPCがメインフレームから派生した分散型計算機システムであると述べたが、この派生した新種がJOBをこなし、企業経営を発展的に支える環境下でどのように進化するのか、しなければならないのかを考えたとき、われわれは一つの結論に到達する。

統合サービスプラットフォーム

 新たに派生したオープンな分散計算機システムにより、比較的安価な要素部品を自由自在に組み合わせ、それぞれの目的に応じたITシステムを構築することが可能となった。すでに到来が認められているユビキタス情報社会においては、ビジネスも個人生活も、そこに形成されるコミュニティーも、あふれる情報とその融合により、めまぐるしく変化・進化することが求められる。オープンシステムもまた、環境の変化に自ら即応しながらユビキタス情報社会を支えるべき形に進化しなければならない。この進化のために、メインフレームの“DNA塩基配列”を今一度見直す必要がある。

 ユビキタス情報社会におけるビジネスや個人生活、そして、この社会そのものを支えるためには、広義の信頼性(いつでも・どこでも・誰でも・安心・安全)が保証されることが極めて重要である。またそれを実現するIT基盤はその存在感を強要しないまでも、一元的、統一的に提供されることが必要である。メインフレームが一つの筐体内にトータルシステムを統合的にまとめ、個々の処理をJOBとして高い信頼性の下、「予測性」や「結果保証」を実現するに至った進化の道のりをオープンシステムに求めたのが統合サービスプラットフォームである。

Policy Based Management
 個々のJOBを業務計画に基づき実行するために、システム全体が高度に進化した運用管理ミドルウェアにより統合され、自動運転が実現される。また、業務全体の変化に対応すべく、プロビジョニング機能を用いたシステム構成変更が柔軟に可能である。

Modular Architecture
 モジュール化された個々のオープンなハードウェア、ソフトウェア要素と、それらを結合するシステムネットワーク技術、ならびにベンダー同士のパートナーシップにより、オープンシステムの自由な組み合わせと、障害時の交代運転など、統合システムとしての細部の擦り合わせを実現する。

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