Linux、仮想化技術で方針転換--「VMware」の対応も検討

文:Stephen Shankland(CNET News.com) 翻訳校正:尾本香里(編集部)

2006-04-14 11:54

 Linuxのプログラマーらが、VMwareの仮想化ソフトウェアをオープンソースの競合製品「Xen」と同等に扱っていこうと、方針転換を図っている。

 オープンソースOSであるLinuxの中核であるカーネルに組み込まれる仮想化ソフトウェアとして、これまではXenが第一候補に挙がっていた。だが、Linuxを率いるLinus Torvalds氏の右腕であるAndrew Morton氏は、Linuxカーネルのインターフェースをあらゆる仮想化技術と連係できるようにすることを目指しているという。

 一般的に仮想化技術とは、1台のコンピュータ上で複数のOSを動作させるソフトウェアおよびハードウェアを指し、サーバの効率を向上させたり、デスクトップアプリケーションを仮想マシンと呼ばれる独立したパーティション内へ隔離したりするのに用いられる。Xen、Microsoft、VMwareは、そうした仮想マシンがハードウェアリソースにアクセスする方法を制御する、「hypervisor」ソフトウェアの開発に取り組んでいる。

 Morton氏は、これまで考えられてきたようにLinuxをXen専用仕様とするのではなく、複数のhypervisorに対応する中立的なインターフェースを持つものとしたいと話した。

「長い間、LinuxとXenの従来の親密な関係を踏まえて、カーネルにこれを組み込むことが最善の道だと考えられてきた。しかし、それではLinuxはXenでしか動かないことになってしまう」とMorton氏は述べる。その代わり、VMwareのプログラマーからLinuxカーネルとhypervisor間の安定性の高いインターフェースを定義することを提案され、彼らが実際に準備に入っていることを、同氏は明らかにした。

「高位設計の観点から見て、VMwareの提案はすぐれている。カーネルと仮想マシンの間で一般化したインターフェースを利用するというのは、仕様をXen専用にするのよりも賢明な考えだ」(Morton氏)

 XenSourceもVMwareもこうした変更に不満は抱いていないが、VMwareには今までにはなかったチャンスが与えられることになる。

 EMCの子会社であるVMwareでデベロッパー製品担当シニアディレクターを務めるDan Chu氏は、「さまざまな人々が公平に扱われる土台を整えるのは、だれにとっても利益となる。だが、今回は特にわれわれが恩恵を受けた」と話している。

 次世代の「疑似仮想化」技術はVMwareの現在の性能をしのぐと言われているが、OSに変更を加えなければ利用できないという問題がある。ソフトウェア企業がVMwareの提唱するカーネルインターフェースを採用すれば、そうした企業やその顧客は、物理的な機器や仮想マシンで利用するソフトウェアのバージョンの違いや、hypervisorsの種類を気にかける必要がなくなると、同社の研究開発部門シニアディレクターであるJack Lo氏は述べた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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