NECは4月17日、光電気変換回路の面積を10ミクロン角程度に小型化し、LSIチップ内に設置可能とする基本技術を発表した。既存のSiナノフォトダイオードに超小型アンプを組み合わせることで、LSIに集積可能なレベルまで光電気変換機能を小型化できることを示した。
すでに、NECは、50GHz以上の高速応答が可能な数ミクロン角以下のナノフォトダイオードを開発している。しかし、高速アンプは構成が複雑なため数十ミクロン角程度の設置面積が必要となり、これまで光電変換部をLSI内部に設置することは現実的でなかったという。
NECは、ナノフォトダイオードの電気容量が接合容量から10aFと極めて小さいことを利用し、高速アンプの設置面積を2桁程度小さくできることを示した。また、この回路とナノフォトダイオードを組み合わせることで、小さな消費電力で高速な光電変換が行えることも分かった。NECでは「この技術を光波長多重技術に適用することで、現行の銅配線に比べて飛躍的に大きな情報量を、幅1ミクロン以下の光配線1本で、低電力かつ高速に伝送することが可能になる」としている。
さらに、NECは、光波長多重技術をLSIに導入するために、従来より1桁小さい100ミクロンサイズの超小型光合分波器を微細光導波路で形成する技術や、従来より1桁小さい100ミクロンサイズの変調器を可能とするエアロゾルデポジションによるセラミックス電気光学膜形成技術など、マルチコアLSIの構造を単純化する要素技術の確立を進める。