ところが、コンテナでは多種多様なOSが動作するだけでなく、その数が常に変化する可能性も出てくる。
SWsoftとしては、1本分のWindowsを購入すれば、顧客がこれを好きな数のパーティションに分割してかまわないと考えている。「ユーザーやファイル、アプリケーションは複数に分けられているが、Windowsは1本分だ」(Beloussov氏)
これに対し、 SWsoftとは逆の金銭的インセンティブをもつMicrosoftは、全く別の考えを示している。「われわれはすべてのOSインスタンスにライセンスが必要だと見ている」(Neil氏)
同様の混乱が、ソフトウェア階層のなかでさらに波及するかもしれない。例えば、ウェブサーバソフトウェアを動作させる際には、多くの異なるコンテナが同一のメモリロケーションに保管された同一のソフトのコピーを利用できる。この場合、サーバ上にソフトウェアのコピーが複数存在することになるのか、それともひとつだけ存在することになるのだろうか。
この複雑さが一因となり、一部のソフトウェア企業が異なる料金設定構造を採用する動きをみせている原因の1つは、この複雑さにある。例えば、Red Hatは顧客がサーバ上にOSのコピーを好きな数だけインストールすることを認めており、顧客はそのサーバが有するプロセッサソケット数に応じて料金を支払っている。
しかし、仮想化技術の場合、このアプローチにも限界がある。Virtuozzo、VMWare、Xenでは、いずれもOSをあるマシンから他のマシンに1回移動させることが可能だ。したがって、仮想化技術は、会社全体でのソフトウェア利用を認めるような購買とするか、あるいは、適切な測定法が見つかれば、ある特定のソフトウェア製品がどの程度の作業を達成するかに基づいて料金を定めるような方向を推進するかもしれないと考える者もいる。
SWsoftは、技術だけでなく競合相手--とくにMicrosoftとの競争も課題となることを認識している。実際にMicrosoftは、SWsoftと同様のアプローチをWindowsコンテナに採用している。どちらの会社も「Windows Terminal Services」という機能を利用して、複数の遠隔ユーザが共有サーバにアクセスできるようにしており、各ユーザーはそれぞれ専用のOSをもっているような体験ができる。
しかしSWsoftは、Microsoftが低レベルの仮想化ソフトウェアの開発に着手したにもかかわらず、VMwareが先行し続けることができたのと同様に、SWsoftでもMicrosoftに先行し続けることができると考えている。Beloussov氏によると、同社はまず仮想化関連で28の特許を有すると述べている。また仮想化での困難な作業の多くは低レベルのソフトウェアではなく、むしろコンテナを管理する高レベルの管理ツールの製造にあるという。
SWsoftが優位に立ち続けることができれば、MicrosoftがSWsoftの勢力に加わることも可能だと、Beloussov氏は述べている。「彼らと提携するためには、まず競争できることが必要だ」(Beloussov氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ