2007年にはWindows Vistaも発表される。Vistaに関してGates氏は「ビジネスの現場でシステム管理が容易になる。企業内の各ユーザーがどういったアプリケーションを利用し、それが最新状態に保たれているか、またどういったファイルがどこにあるか、そのファイルがどのように保護されているかなどが容易に把握できるようになる」とアピールした。
また、Gates氏はMicrosoft Officeの次期バージョンについて、「コラボレーションにフォーカスしている」とした。「Office製品でわれわれはドキュメント作成の標準を作ってきた。今後はコラボレーションについてもSharePoint機能で標準を作り上げたい」(Gates氏)
Gates氏は、3月に発表したUltra Mobile PCや今後のモバイル製品の方向性についても触れ、「キーボード入力に取って代わることはないにしろ、タブレットによる直接入力や音声入力はより重要になってくる」と述べた。将来的には、学生が紙の教科書の代わりにタブレットPCを持ち歩き、ワイヤレス機能で先生から直接課題をPCで受け取ることができるようになるだろうと話した。
Web 2.0はあいまいな言葉
Web 2.0の世界について多くが語られるようになった昨今、Gates氏はWeb 2.0についてどう考えているのだろうか。同氏は、「Web 2.0という言葉自体は非常にあいまいだ」としながらも、「確実なのは、ウェブで提供されるサービスのイノベーションが急速に進んでいることだ」と述べている。Gates氏によると、ウェブ上での地図サービスや検索などのサービスは、すべてソフトウェアのイノベーションがベースとなっているもので、「ソフトウェアがすべての鍵になるというMicrosoftの根本的なビジョンに合致している」と述べている。
また、通信と放送の融合についてGates氏は、「必ず融合は起こる」としている。特にインターネットの世界では、ターゲットを絞った広告が可能ということもあり「選択肢も幅広い」とGates氏。ただし同氏は、「融合を実現するには1社の力では不可能だ」として、自社の強みを生かした部分にフォーカスし、他はパートナーと協業することでいいものができるとしている。
「Microsoftが成功したのは、フォーカスする分野を絞ったからだ。IBMはハードウェアからソフトウェアまですべてに手を出し、パートナーとの協業を考えなかった。Microsoftはソフトウェアのプラットフォームを作り出すことに注力し、パートナーとの協業でビジネスを何倍にも大きくした。融合の時代では、企業は専門性を持つことが重要となる。われわれはプラットフォームを作ることについてはスペシャリストであり、その他の部分をその他のスペシャリストに任せている。融合の時代は、こうしたモデルがより重要となるだろう」(Gates氏)