企業内検索に続々と名乗りを上げるメジャープレイヤー - (page 3)

柴田克己(編集部)

2006-05-02 19:08

Office Systemで重要性が増す検索機能

 マイクロソフトは4月20日、ビジネスパートナー向けにOfficeの次期バージョンである「the 2007 Microsoft Office System」を紹介する製品発表会を開催した。

 同社では、Officeブランドの製品を、個々のデスクトップアプリケーションではなく、組織の生産性向上とコラボレーションの促進を実現するためのプラットフォーム製品として開発していく「Office System構想」を打ちだしている。

 2001年にOfficeおよびWindows Serverの追加コンポーネントとして登場し、2003年以降は正式にOfficeブランドを冠した「SharePoint」は、次期バージョンで「Office SharePoint Server 2007」という名称を与えられ、Office System構想の中核となるべく大幅な機能強化が行われるという。

 今回のパートナー向けの説明会では、検索機能のみが大きくフィーチャーされることはなかったが、SharePoint Server 2007の6つの機能領域として「コラボレーション」「ポータル」「エンタープライズコンテンツ管理」「プロセス管理」「ビジネスインテリジェンス」と並んで「検索」が上げられていた。

 Microsoft Researchによって開発と研究が続けられてきた検索技術の成果は、ポータルサービスである「MSN」の検索機能や、Windowsデスクトップサーチなどに生かされてきた。次期SharePointに組み込まれる検索技術はこれらと共通のものだが、検索精度やランキングアルゴリズムはエンタープライズ検索向けに最適化されるという。インターネットから、各自のデスクトップまでを、一貫した方法やユーザーインターフェースで検索できる環境を提供できるのは、マイクロソフトならではの強みのひとつだろう。

 次期SharePointの検索機能では、一般的なファイルシステム、Exchange Server、Lotus Domino、インターネット、イントラネット、SharePointポータル上の情報に加えて、データベース、基幹業務アプリケーションデータの検索も可能になる。外部のアプリケーションに対しては、XMLで記述されたメタ情報をもとに、Webサービスを通じてインデクシングや検索を可能にすると説明している。

 さらに、マイクロソフトはSharePoint Server 2007で強化される機能として、「Know-who検索」をあげている。Know-whoとは、ある情報の背景を知る「人」を組織の中から見つけ出そうとする考え方。実際には文書化されていない「暗黙知」を共有するための方法論として、ナレッジマネジメントの観点から注目を集めた概念だ。Know-who検索の具体的な強化点については明らかにされなかったが、企業内での情報活用というテーマでKnow-whoに着目したこの機能の内容には、今後注目しておくべきだろう。

 そのほか、クロールパフォーマンスの向上、クロールログ、クエリレポート検索機能といった形での検索管理性の強化も特徴としてあげられている。

 マイクロソフトの推進するOffice Systemにおいて、企業ユーザーが必要な情報を的確に取得するための手段として、SharePoint Serverの検索機能に重要な役割が与えられていることは間違いなさそうだ。

機能だけでなく情報活用のノウハウも重要に

 今回の特集で取り扱ったベンダーの製品は、企業内に存在する構造化データ、非構造化データの両者に対する検索を可能にし、企業内での検索者の役割や権限に従ったアクセス制御を可能にしているという点で、機能的にはいずれも企業内検索基盤(ESP)の構築を指向したものといえるだろう。

 今後は、検索エンジンの機能的な差異もさることながら、検索を土台にした使い勝手の良いアプリケーションの提供、企業内に存在する情報の価値評価手法の確立、さらに情報を作成し利用する「人」の存在を考慮した運用ノウハウの蓄積といった部分が、企業内検索市場での主戦場となっていくのかもしれない。

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