Linuxカーネルの管理者、バージョン2.6のバグ増加を懸念

文:Ingrid Marson(CNET News.com) 翻訳校正:緒方亮、高森郁哉

2006-05-08 19:12

 Linuxプロダクションカーネルのリードメンテナーを務めるAndrew Morton氏は、バージョン2.6でバグの増加がみられることを懸念している。同氏はこの問題を解決するため、思い切った対応を行うことを検討中だ。

 ドイツのウィースバーデンで開催された「LinuxTag 2006」カンファレンスで、Morton氏は現地時間5月5日、「私は、2.6カーネルのバグが徐々に増えていると考えている。新しくできるバグの数が、修正されるバグの数を上回っているようだ」と述べた。

 Morton氏は、この件についてまだ統計的な裏付けを得ていないが、受け取るバグ報告の電子メールが増えていることに気づいたと語る。欠陥の割合が増加していることを確認できた場合、問題の解決のため現在のカーネル開発プロセスを一時的に中断する可能性があるという。

 「まず、私にできるささやかな行動として、欠陥の割合が本当に増えているのか確かめることにした」と、Morton氏は述べた。「もしそれが本当なら、何か手を打つ必要がある」(Morton氏)

 「カーネル開発者は時間配分を再検討し、バグの修正に費やす時間を増やす必要が出てくるだろう」と、Morton氏は付け加えた。「バグ修正だけの開発サイクルを確保する可能性もある。純粋に、積年のバグを修正するためのサイクルだ」(Morton氏)

 問題の1つは、バグの修正にやる気を起こす開発者がほとんどいないことだと、Morton氏は語った。企業に勤めているカーネル開発者は旧式のハードウェアを気にかけない傾向があり、古いコンピュータや周辺機器に関するバグでは、このことが特に問題だと、Morton氏は指摘する。

 現在、多くのカーネル開発者はハードウェアメーカーなどのIT企業に雇われている。企業は自社の利益を優先して動くこともあるため、これが問題を起こす可能性があると、Morton氏は示唆した。

 「カーネルのメンテナーを雇い入れている企業なら、発売から5年が経ちどこも販売していない周辺機器の対応には興味を持たないだろう。私はそうした事情を理解できるが、ユーザーはまだそのハードウェアを使用しているのだから、やはり問題だ。そのバグがあることでカーネルのプロセス全体が影響を受け、カーネルを停滞させるかもしれない。バグがあるのに、それを修正する人がいないのだから」(Morton氏)

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. セキュリティ

    マンガで分かる「クラウド型WAF」の特徴と仕組み、有効活用するポイントも解説

  4. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  5. クラウドコンピューティング

    Snowflakeを例に徹底解説!迅速&柔軟な企業経営に欠かせない、データ統合基盤活用のポイント

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]