大日本印刷(DNP、北島義俊社長)は5月18日、東京都板橋区にICタグを用い た物流管理の実験施設「ICタグSCM(Supply Chain Management)ソリューショ ンテストセンター」を開設したと発表した。
センター内に顧客企業の物流環境を再現し、各種ICタグの読み取り実験など を通じて、顧客に最適なICタグやリーダーの選定や環境設定を行うことが目的。 施設内には、主要な方式のコンベヤー、パレット、フォークリフトなどを設置 しており、実際の物流業務の主要な場面を再現できる。とくにコンベヤーは、 ICタグテスト施設としては国内最速クラスの180m/分まで対応でき、ICタグ読 み取り時の通過スピード、リーダーの角度、荷物へのICタグの貼付位置、荷物 の間隔の最適化など、さまざまな要素を検証することができる
ICタグを用いた物流管理をめぐっては、国内電波法省令の改定でUHF帯ICタ グの利用が解禁されたのを機に、実業務への導入に向けた機運が高まりつつあ る。しかし、利用環境によってICタグの情報を正確に読み取れないなどの障害 が発生する場合もあり、運用現場に近い環境での実験を通じて、事前にICタグ の読み取り率などの検証を行うことが求められていた。
DNPでは、04年から評価機器の導入を開始し、物流環境での評価方法の開発 に着手。実験を重ね、ICタグ導入に向けた現場環境のシミュレーションテスト の手法を確立したことから、同センターを開設することにした。
今後は、同センターでの実験データをもとに選定したICタグとハードウェア の提供、設置、設定などを行い、顧客環境に適した物流管理システムの構築を 行う予定。実証実験で得られたノウハウは、顧客企業にも開示・提供する。同 社では、ICタグを用いた物流管理システムで初年度3億円、2010年度には20億 円の売上を見込む。