日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は5月22日、ヨドバシカメラの無線ICタグ(RFID)情報管理システムの開発に向け、デュアルコアIntel Xeonプロセッサ7040を搭載した「HP ProLiant DL580 G3」上で複数のRFIDリーダーを制御した環境を実現。パフォーマンスおよび読み取り率の事前検証を完了したことを発表した。
ヨドバシカメラでは、2005年秋に検品作業におけるRFIDの利用推進を表明し、大規模な商用RFIDシステムである「ICタグ情報管理システム」の運用を準備している。同システムは、RFIDを検品作業に活用するにあたり、RFIDリーダーから読み取られたタグ情報を発注管理システムに中継する。
RFIDを利用することで、リーダーの付近を通過するだけで商品に添付されたICタグの情報を読み取ることができ、これまで手作業で行ってきた検品作業を大幅に効率化することが期待できる。さらにこのICタグ情報管理システムでは、タグ情報と仕入先の出荷情報との照合、および入荷情報の更新までを自動化することを目指している。
今回実施されているシステム開発では、これまで稼動実績のない日本の共用化技術(LBT)対応のリーダー導入や、倉庫内の広い領域で大量のタグを同時に読み取るための複数のRFIDアンテナ、およびRFIDリーダーの同時制御に対応したミドルウェアの開発などが重点課題となっている。このようにシステム規模が大きいため、導入前の事前検証が必須要件だった。
このため、事前に業務上想定されるデータ規模、データ送信タイミングを再現した環境下において、新たに開発されたICタグ情報管理システムのパフォーマンスと読み取り率を検証。パフォーマンスについては、商品の入荷に伴って複数のリーダーから送信された入荷実績データが、同システムにて処理され、購買/在庫管理システムにデータが送信される際の性能を検証した。また、読み取り率については、32基のアンテナと8台のRFIDリーダー(日本の共用化技術に対応)を設置した環境下でタグ情報の読み取り精度を測定した。
検証作業は、ヨドバシカメラ新物流センターで行われ、1納入あたり500個の大量同時納品など、実際の業務に即したさまざまな納品パターンを想定して実施。その結果、業務に十分耐えうるパフォーマンスでスムーズに業務フローを実現できることが確認され、タグ情報の100%近い読み取り率も達成している。
この結果を受けてヨドバシカメラでは、2006年5月中に同システムを稼動開始し、商品の受け入れを開始する予定だ。