使用中のEAIツールとの最大の相違点は、開発生産性だった。GUI操作が基本のWaha!は、開発に要するスキルと日数が格段に低かったという。
現在、インタフェース開発に要するコストは平均十数万円と、先行導入したEAIツールを使用した場合の3分の1にまで低減。これまで70本以上をWaha!で開発しており、トータルで2500万円以上のコストダウンを実現できた計算になる。
インタフェース部分の開発がこれだけ短期間・低コストで実現できれば、ホストマイグレーションしたメリットも十分に享受できる。ホスト時代には仕様を考える時間よりも、設計段階における処理仕様書や紙ベースのファイルレイアウト、フローチャート作成に時間を要していた。また実装段階での、I/Oのデータコピー句やソース、JCL作成と実作業にも、多大な工数を費やしていた。
だがWaha!に変わってからは、「設計=実装」となり、これらの工数の大半を省略することができた。
もちろん、複雑な処理については事前に概要設計や詳細設計の下書きを準備するが、各処理は画面上でビューフィルターを採用するだけだ。I/Oファイルの定義も同時にでき、すべて完了すればフローチャートも出来上がっているというわけだ。 また、大半のドキュメント作成が不要で、JCLも作る必要がない。こうした開発工数の削減が、TCOの圧縮に大きく寄与しているという。
パフォーマンスも問題なし 全社データ交換の基盤とする
Waha!はETLツールに分類される。ほかにもデータ交換・管理ツールとしては、EAIやBPMなど、さまざまな製品が提供されている。そして、データ量や処理のタイミングにより、適材適所があると言われている。
塩野義製薬ではWaha!について、「十分満足」しているという。
同社の特性として、あまりリアルタイムの処理を要求していない。デイリーのバッチが処理の中心だ。日に処理するデータの件数は約15万件。中には長大なレコードもあるが、処理能力に問題はないとのことだ。
塩野義製薬では、Waha!導入当初からプログラムの標準化を進めている。接続情報やジョブ、ターゲットテーブルなど共通化できる部分を取り出し、個別開発を極力減らす方針だ。
そしてWaha!が、こうしたテンプレートの作成と流用を、GUI環境で容易にできる点も、高く評価しているという。
現在塩野義製薬では、先行導入したEAIツールとWaha!を並行して使っているが、今後はWaha!の割合を増やしていく。現在、業務間でプロセス連携できていない部分や、今後開発する新システムとの接続など、全社的なデータ交換インフラとして活用していく計画だという。
●Waha! Transformer
GUIによる操作性向上と自動化でデータハンドリング工数を徹底削減
Waha! Transformer(Waha!)の最大の特徴は操作性だ。基本的な作業は以下の3つ。
(1)DBからカラム情報をインポートし、ビューを作成
(2)入力ビューを出力ビューにドラッグ&ドロップし、ビューフィルタを作成
(3)実行して結果を確認
それぞれGUI環境で操作できる。
データのハンドリング機能も豊富だ。カラム移動や計算、整形、ソート、レコードの絞込みができる「標準ビューフィルタ」や、SQLのジョインに相当し複数キーによる複数データの結合が可能な「結合ビューフィルタ」など、8つのフィルタにより、多様なデータ変換・統合を実現する。
データ抽出時には、ウィザード形式でファイルの先頭部分を読み込むと、ファイルの形式や、カラムの名称、型、精度などをツールが自動で推定。担当者は実際と異なる部分だけをGUI環境で修正すれば済むため、工数を大幅に削減できる。 データの抽出から変換・クレンジング、ロードまでの作業を定義した後は、自動運用も可能だ。ジョブはCPUの数や処理の複雑さに応じ、マルチスレッド実行されるため、大量データでも問題なく処理できる。
メインフレームの情報資産をC/Sシステムに容易に取り込む
海外製ETLツールを日本で使用する場合に、多くの企業が苦労するのがメインフレームの問題だ。メインフレームの基幹系データの多くは、正規化レベルが低く、参照整合性も保証されていないケースが多い。だがRDBを利用したC/S環境を想定している海外製ツールは、正規化されておりSQLでアクセスするよう設計されている。
その点Waha!は、メインフレーム系のデータを正規化されたDW系のデータに整形できる機能を持ち、過去のデータ資産を迅速かつ容易に、C/S系システムに連結・移行が可能だ。
また、マルチベンダ環境における漢字変換機能を装備。漢字・非漢字混在フィールドや外字にもキメ細かく対応し、メインフレームとC/S環境をシームレスにつなげられる。