アビームコンサルティングは6月6日、IT投資が「期待通り」の成果を上げていると考えている企業が30%とする調査結果を発表した。2年前に実施した調査から数字は変わらなかった。同調査は、東証一部上場企業を中心とする国内大手企業約2000社の最高情報責任者(CIO)やIT部門長に対して2006年2月〜3月にかけて実施。141社から有効回答を得た。
同調査によれば、過去3年間におけるIT投資の成果を全体として「期待以上」とした企業はなく、「期待通り」と回答した企業も30%にとどまった。この結果は、2003年10〜12月に同社が実施した調査結果と同じで、IT投資効果を上げるという課題が解決されていないことが見て取れる。
IT投資の成果を目的別に見ると、「情報セキュリティの強化」「コンプライアンスの確保」では、約5割の企業が「期待通り」「期待以上」の効果を上げている。その一方で、「売上の増加」「製品/サービスの向上」「ビジネスモデルの実現」では、「期待通り」「期待以上」と回答した企業が2割を下回った。ほとんどの企業がIT活用を収益向上に結び付けられていないもようだ。
さらにアビームでは、IT投資の効果を「期待通り」と回答した企業を成功企業、「やや不十分」「不十分」と回答した企業を不成功企業に分類。IT投資の企画/推進に対する経営トップ(社長/役員)の関与、情報システムの利用部門の関与、IT部門のケイパビリティ(提供能力)の3分野について、成功企業と不成功企業を比較した。
その結果、経営トップの関与、利用部門の関与、IT部門のケイパビリティの全項目で、成功企業が不成功企業を上回っていることがわかった。さらに、この調査では、経営トップ、利用部門、およびIT部門が協力してIT活用を進めた場合、成功率が68%になることが明らかになった。IT部門のスコアが高いだけだと成功する確率は53%に下がる。