Coffey International:Windowsが実現した協調インフラ

David Braue (ZDNet Australia) 2006年06月16日 10時24分

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コスト削減を期待してLinuxを導入したCoffey Internationalは、Windows環境に移行することで、Linux環境では不可能だった形でコンサルタントを連携させることに成功した。David Braueが報告する。

Coffey International
業種:コンサルティング
従業員:1600名
主な業務:主な業務:主に開発途上国における環境・インフラプロジェクトに、専門知識とノウハウを提供
財務情報:2005年の売上高は1億7000万ドル(前年比29%増)、利益は1020万ドル(前年比45%増)

 効果的で安定したインフラを構築するには長い時間がかかる。Coffey Internationalほど、この事実を理解している企業は少ないだろう。Coffeyはオーストラリアのコンサルタント企業であり、世界各地で行われている物的/社会インフラの開発プロジェクトに建設、工学等の専門知識を提供している。

 この困難なミッションを達成するために、Coffeyのコンサルタントは事務所(全国47カ所)の枠を超えて相互に協力している。Coffeyには10の事業部門があり、アチェでの津波復興プロジェクトから、第三世界の医療を改善するための首都計画プロジェクトまで、多彩なプロジェクトに専門家の助言を提供している。

 同社のサービスに対する需要は非常に高い。買収と自然成長によって、従業員数はこの3年で500名から1600名に急増した。こうした従業員のニーズをITの側面から支えているのがClive Parsons氏だ。Parsons氏は1年前に最高情報責任者(CIO)としてCoffeyに入社し、不安的なアーキテクチャの見直しと、柔軟な技術計画の策定に取り組んだ。

 以前のインフラは1999年に導入されたもので、Mandrake Linuxをベースにしていた。Parsons氏によれば、このシステムに問題があることは導入直後から明らかだったと言う。「会社もシステムが十分に機能していないこと、インフラが会社の急成長に対応できなくなっていることを認識していた」

 「当時のシステムは、縦割り思考を促進するような設計になっていた。情報管理は直感的ではなく、支社間の情報共有も十分ではなかった。たとえば、ブリスベン事務所の情報にはブリスベン事務所からしかアクセスできなかった。情報に関する限り、従業員の連携を促すような要素はどこにもなかった」

 問題は情報管理のお粗末さだけではなかった。古参の社員は支出削減を優先し、現在の規模に合わせて、システムを拡張することには消極的だった。導入時には低コストで、IT支出の削減に役立つと思われたLinuxとオープンソースソフトウェアは、今や助けどころか障害となっており、Parsons氏が入社してからはシステム改革の最大の標的となった。

 「当時はLinuxの方が安上がりだと考えられていた」とParsons氏は言う。「ところがいざシステムを拡張しようとすると、隠されたコストがあちこちにあることが分かった。金員の問題だけではない。従業員のスキルにも限界があり、運用方法もインテリジェントとはいえなかった」

Linuxとの決別

 Coffeyの経営陣はIT部門の人員抑制、将来の従業員増に備えた情報モビリティの確保、先端技術の迅速な採用といった目標を掲げていた。こうした目標を達成するためには、新しいインフラを導入することが不可欠だとParsons氏は考えた。メインフレーム畑出身のParsons氏は、CoffeyのCIOに就任するまで「Microsoftについて無知だった」ことを認める。

 シングルサプライヤー環境を構築し、責任の押し付け合いではなく、より重要で生産的な問題解決を可能にすることが「鍵」だったとParsons氏は付け加える。Parsons氏はさまざまなベンダーと話をした。そのひとつがMicrosoftだった。Parsons氏はMicrosoftの「SharePoint Portal Server 2003」に引きつけられた。SharePointが実現するアプリケーションのエコシステムこそ、Coffeyの分散的で協調的な環境にふさわしいと思われた。

 「Microsoftはすべての製品をこの協調プラットフォームと結びつけようとしている。すべてのアプリケーションが統合を指向しているというのは非常に魅力的だ」とParsons氏は言う。「社内の知識はシームレスに、そして透過的に動かすことができなければならない」

 Coffeyはその後数カ月をかけて、大規模な学習と実装を進めた。同社は徐々にLinuxインフラを脱ぎ捨て、Parsons氏が会社の方向性により適していると考えたMicrosoftの多彩なサーバアプリケーションを導入していった。

 4カ月後にはLinuxサーバに代わって、Microsoftの「Active Directory」と「Exchange Server 2003」が導入され、Coffeyの20の事務所を統合する常時監視/中央管理型のメッセージインフラが構築された。

 「以前は事実上、すべてのメールがデスクトップに保存されていた。データを集中的に保存する場所はなかった」とParsons氏は言う。「これは訴訟の点でも、資源の重複やそれに起因する問題の点でも、非常に危ない状態だった」

 ポータルの整備もポイントだった。現在は3つのSharePointポータル--プレスリリースや会社概要を掲載する一般的な情報ポータル、主要コンサルティング分野(地質学、地球物理学、人事など)に焦点を当てた実務者向けのコミュニティポータル、世界各地のプロジェクトチームメンバーを結ぶプロジェクトポータル--を通して、ユーザーの幅広いニーズに対応している。

 この結果、コンサルタント同士の連携が改善されただけでなく、プロジェクトチームもコンサルタントに容易にアクセスできるようになった。複雑なインフラプロジェクトでは、さまざまな分野のコンサルタントに助言を求めることが多い。

Coffey International

 以前のシステムでは、こうした統合的で包括的な環境を構築することはできなかった。当時はすべてのスタッフが、システムの統合や日常の保守作業に追われていたからだ。「IT全般の問題から解放されたと感じているスタッフもいる」とParsons氏は言う。

 「Linux/Unix環境を維持していたら、システムの稼働状態を監視するために専任の担当者を雇わなければならなかっただろう。私はスタッフに後ろ向きの仕事はしてほしくない。スタッフには常に前向きの仕事をしてもらいたい。Microsoftのアプリケーションはそれを可能にしてくれた」(Parsons氏)

さまざまなメリット

 Parsons氏の最初の印象を裏付けるように、ユーザーも新しい環境を強く支持した。ユーザーの満足度は上昇している。情報にアクセスしやすくなったことは、経営陣が新しい方向性に「はるかに大きな自信を持つようになった」ことを示している。

 ERPソフトウェア「Epicor for Service Enterprises」の導入もまもなく始まる予定だ。このソフトウェアは現在のフレームワーク上に構築され、総合的なビジネスシステムを提供することになる。

 「Epicorを選んだのは、Microsoftとパートナー関係にあるからだ。SharePointと統合することができれば、より高度な機能を実現できる」とParsons氏は言う。「Linux環境では、このようなことは絶対に不可能だった」

 コストも下がった。今ではわずか11人のITスタッフで1600人のWindowsユーザーとデータセンターを支援している。データセンターの構成も、24台のブレードサーバ「Dell PowerEdge 1855」に縮小された。ライセンス契約を統合した結果、ライセンス管理の費用は減り、管理も容易になった。Parsons氏の試算では、新システムに対する投資額はLinux環境を継続していた場合の30%に過ぎないという。

 以前の環境と比べると、トレーニングの負担も減った。ユーザーはWindowsのインターフェースに慣れているからだ。「Microsoftのフロントエンドは共通なので、使い方を覚えるために、特別なトレーニングを行う必要はほとんどない」とParsons氏は言う。情報もすばやく検索できるようになった。

 しかし、今回の移行の最大のメリットはソフト面に現れており、プロジェクトの幅と可能性が拡大するとともに、Coffeyのオペレーションを変え続けている。

 「事務所の枠を超えて、実務者のコミュニティが形成され、かつてない規模で分野横断的な連携が始まっている」とParsons氏は言う。

 「技術者たちは以前は考えられなかったようなコミュニケーション方法を、事務所の枠を越えて議論するようになっている。プロジェクトマネージャーは以前は知らなかったような同僚のプロジェクトに関心を持つようになっている。すべての従業員が社内で何が起きているのかを理解している--これはすばらしいことだ」

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