情報の時代から共有と参加の時代へと進化を導くWeb 2.0 - (page 2)

藤井彰人(サン・マイクロシステムズ)

2006-06-26 19:58

 さまざまなサービスがネット上に提供されることにより、それらのサービスを組み合わせて新たなサービスを作り出す試みも広がっている。音楽のジャンルである“ヒップホップ”で使われる「マッシュアップ」は、これらネット上のサービスを組み合わせて新たなサービスを作り出すこをと意味する言葉として利用されている。

ユーザー参加型

 これまでのウェブでは、情報の発信者から受信者に対して一方通行で情報を配信するプラットフォームとして位置づけられていたが、情報の消費者をあらたな情報を生み出す表現者、発信者として認め、参加型の情報を全員で共有することでサービスが活性化されることが証明されている。

 OfotoとFlickrは、どちらも写真の共有サービスを提供するネット上のサービスですが、Flickerでは様々なAPIを提供することで、ユーザーが自由にアプリケーションを開発できるような環境を整えたのが大きな違いだ。

 写真公開を目的とするユーザーを集めるだけでなく、さまざま目的のユーザを集めることを可能とし、かつユーザ間でのシナジー効果を生み出した。サービスを隠蔽するのではなく、オープンにして参加型でユーザーイノベーションを誘発することこそ爆発的な拡大を生むことを証明したよい例といえる。

技術要素

 Web 2.0はビジネスのコンセプトですが、その中で議論される技術要素も幾つか存在します。AJAX(Asynchronous JavaScript and XML)、Webサービス、RESTなどの技術要素のほかに、ブログやSNSといったソフトウェア技術、サービスもWeb 2.0の代表的な例として登場する。情報の消費者を発信者に変える製品技術や、消費者に情報を発信してもらうための豊かなユーザーエクスペリエンスを提供するための技術がWeb 2.0の技術要素のベースとなっている

情報の時代から共有と参加の時代へ

 これまではIT企業は、アイデア、知財をソフトウェアなどの形で商品化し、知財を隠蔽しつつそのライセンス販売を行ってきた。まさに情報化の時代だ。

 しかし現在では、あらゆる層のユーザーが、積極的に知識を共有し、オープンソースを活用し、ネットワークサービスとしての商品化、連携を行い、集合知を活用したユーザー主導のイノベーションが拡大しています。今まさに情報の時代から、参加の時代に変わりつつあると言えるだろう。

 ネットワークを活用した共有と参加は、ビジネスを変えるだけではない。デジタルディバイドを解消し、医療や社会福祉、教育など、さまざまな社会的なインパクトをも引き起こす。

 Web 2.0とは、このような要素を含むウェブプラットフォームの新しい活用法を意味しているが、ベースとなる「2.0」の各コンセプト自体は、単にネット上のサービスのみで閉じたものではない。あらゆる分野における「Web 2.0」のコンセプトをベースにして、IT、Networkの活用方法を検討することも大切になる。

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