日本オラクルは6月27日、ビジネスインテリジェンス(BI)に関する戦略説明会を開催した。同社のBI市場に対するアプローチは2005年より始まっており、同社 常務執行役員 システム製品統括本部長の三澤智光氏は「2007年にはナンバーワンのBIベンダーになる」としている。
三澤氏によると、2005年オラクルは、BIベンダーとしての認知度を向上させるべく、BIツールの「Oracle Business Intelligence Discoverer」を拡販し、150案件を手がけた。「競合製品とはけた違いに安価」(三澤氏)という点をアピールし、競合のシェアを徐々に奪ってきたという。
2006年は、「統合的なBIを提案するために製品を強化し、BI拡販のための専任部門を設立する」と三澤氏。その一環としてオラクルは同日、新製品「Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition」(Oracle BI Suite EE)および「Oracle Warehouse Builder 10g Release 2」を発表した。
Oracle BI Suite EEは、Oracleが2005年9月に買収したSiebel Systemsの「Siebel Analytics」をOracle Fusion Middlewareに対応させたもので、「Oracle Business Intelligence Suite Standard Edition」(Oracle BI Suite SE)の上位版となる。ベーシック版のSEはレポーティングツールが中心で、Oracle製品と密接に統合されたものだが、EEではIBM DB2やMicrosoft SQL Server、NCR Teradataなど、Oracleのデータベース以外からも情報を収集し、分析できる。
Oracle Warehouse Builder 10g Release 2は、Oracle BIと連携するための機能が統合されている。例えば、これまでデータウェアハウスの構築とは別にBIシステム構築のために設計や管理が必要だった「Oracle Discoverer」のメタデータを直接出力する機能や、「Oracle OLAP」の多次元キューブ構築、「Oracle BI Beans」のテンプレート出力などが自動で行える。また、データの抽出、変換、ローディング(Extract、Transform、Load:ETL)のプロセスに統合されたデータクレンジングおよびデータプロファイリング機能で、データウェアハウス構築における情報の質が高められるほか、「Oracle Warehouse Builder Connector」やOracleデータベースの異機種間接続サービスにより、多種多様のデータソースに対応している。
製品以外では、BI拡販に向けた専任部門の設立するが、これは営業組織とコンサルティング組織からなり、6月中に新設する。約80名の体制で、Oracle BI Suite SEを200件、EEを20件という2007年度の販売目標達成を目指す。
オラクルはさらに、2005年7月に発表したBI導入支援の無償サービス「Business Intelligence Express Service」を強化し、BIシステム設計や構築フェーズでのサービスを充実させた「Business Intelligence Express Service -Premium-」を提供する。このサービスは、BI構築に向けた戦略構築段階およびBIの活用プラン段階においてデザインする無償のエクスプレスメニューと、実際のBI設計や構築段階で導入を支援をする有償のエクスプレスプレミアムメニューで構成される。
三澤氏は、競合となる日本ビジネスオブジェクツやコグノスは、新規ライセンスを年間35億円〜40億円程度売り上げているだろうとし、「今後市場がさらに成長することと、競合からのシェアを奪うことで、オラクルでも2007年度中にはBIツール単体で20億円程度は売り上げたい」と述べた。