ユーザーとのコミュニケーション:やってはいけない10の間違い

文:Becky Roberts 翻訳校正:吉井美有 2006年07月03日 10時00分

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  あなたはこう思っていないだろうか。「自分はユーザーとのコミュニケーションをうまく図っている。ユーザーへの報告は欠かさないようにしているし、ユーザーの声にいつも耳を傾けている」と。しかし現実には、誰もあなたのメールを読んでいないようだし、あなたの指示に従ってもいない。一体どうしたわけだろうか。多くの場合、ユーザーはコンピュータに何か問題が発生してもサポートに助けを求めずそのまま放置している、と聞いたらあなたは驚くだろうか。これらはすべてユーザーとのコミュニケーションが破綻する前兆だ。しかし、われわれサポート技術者は、こうした事態になっても、ユーザーが無頓着なせいだとか、ユーザーのほうがおかしいのだというふうに勘違いしてしまうことが多い。そのままでは、事態はどんどん悪化し、遠からずユーザーとのコミュニケーションは完全に途絶えてしまうだろう。たとえ誠意をもってユーザーに対応しているつもりでも、次のような致命的な過ちを犯してしまうと、ユーザーとコミュニケーションを図るつもりがかえって逆効果になってしまうこともある。

#1 言葉は丁寧でも身振りや表情に本音が出てしまう

  言葉では、「まったく、おっしゃるとおりです。では、トナーカートリッジをお取り替えしますね」などと言っていても、表情、声の調子、身振りなどに、次のような本音が出ていないだろうか。「この間抜け野郎。IQ 167のこの俺が、トナーカートリッジを交換するために、4年も大学で勉強して、IT関連の資格を53も取得したと本気で思ってんのかよ。『代わりに息もして差し上げましょうか』ってんだ」

  表向きは丁寧な言葉を使っていても、舌打ちをしたり、目をぎょろつかせたり、うすら笑いをこらえたりしていれば、別に行動心理学者でなくとも、お高くとまったばかにした態度がユーザーに伝わってしまうものである。トナーカートリッジの交換などというつまらない仕事ばかりさせられることが多いなら、逆に、良い機会だと思って、そのユーザーを教育して力をつけてやればよい。

#2 知識をひけらかす

  正しい技術用語や概念をすべて知っているからといって、何もユーザーとの会話にそうした専門用語を使う必要はない。手順の説明があまりに専門的だったり、ユーザーが知る必要もない余計なことがたくさん含まれていたりすると、肝心なことが相手に伝わらない。専門知識で相手に好印象を与えているつもりでも、実は相手を疎んじて小ばかにしているのであって、ユーザーから見ると横柄でもったいぶった態度に見えるだけである。例えば、ブラウザの動作がおかしいとき「キャッシュをクリアしてオブジェクトを削除してください」と言うのは、技術的には正しいかもしれない。しかし、そうした手順を実行する方法を知っているのなら、とっくに自分でやっているはずである。その作業の実行方法をひとつひとつ手順を追って、できれば、ユーザーにわかる言葉で簡単な説明をはさみながら示すことだ。知識ではなく態度で好印象を持ってもらうようにしよう。

#3 キレる

  William Langland*が1377年に「忍耐は美徳なり」という言葉を遺していなかったら、20世紀後半、ちょうどオフィスにコンピュータが普及しはじめた時期に、サポート技術者が同じ言葉を残していたに違いない。以来、オフィスで働くひとたちのコンピュータ操作能力は着実に向上してきたとはいえ、相変わらず簡単な操作ができない人たちがどこのオフィスにも一人はいる。そうした人たちは同じことを何度もサポートに質問してくるのだが、そのあまりのしつこさに、こちらの忍耐も限界に達してしまう。「この間抜け野郎」と怒鳴りながらこのようなユーザーの頭をジェルリストレストでぶんなぐってやれば、一瞬スカッとするかもしれないが、ユーザーは激怒し、サポート担当者は解雇されるという結果は目に見えているので、それだけは何とか避けなければならない。それには、こうした事態を防ぐ方法を身につけることと、起こってしまった場合は適切に対処できるようにしておくことが大事だ。

編集部注:William Langlandは14世紀イギリスの人物で、当時の教会の腐敗を批判して新しい倫理体系を求めた『農夫ピアズの夢』を著したことで知られる。

#4 そっけなくあしらう

  腕に奇妙な緑のこぶのようなものができたので医者に行ったとする。ところが、医者は元気づけるようにあなたの背中をポンとたたいて、「心配はいりません。1、2カ月しても直らなかったらまた来なさい」と言うだけだった。あなたはどう感じるだろうか。その医者が患部を診ることさえしなかったらどうだろう。ユーザーが抱えている問題を真剣に受け止めず、「問題ありませんよ」などと陳腐な形だけの言葉で済ませるのは、そっけない医者の診察と同じで、ユーザーを不安な気持ちにさせてしまう。起動時に普段の2倍も時間がかかるなんてあり得ないとか、そら耳で例のかん高いマシンのうなり音を聞いたのだろうと思っていても、「心配いりませんよ。症状が続くようでしたら連絡ください」などとユーザーを軽くあしらってはいけない。そんなことをしても、ユーザーは、小ばかにされまともに取り合ってくれなかったと感じるだけで何の解決にもならない。

  コンピュータのトラブルは、本当であれ、思い違いであれ、ユーザーにとっては同じことである。彼らは、とにかく解決しなければならない問題が起こっている、としか認識していない。単なるユーザーの思い違いであったとしても、思いやりを持って柔軟に対応することで、その思い込みを解消してあげることができる。どんなささいな問題であっても、真剣に取り組み、丁重に対応すれば、ユーザーの我々に対する信頼感が増し、うまくコミュニケーションを図れるようになる。

#5 報告しない

  固定観念にとらわれているかもしれないが、一般に、ギークと呼ばれるIT部門の人間はあまりコミュニケーションが得意ではない。少なくとも、普通の人たちとまともにコミュニケーションをとれないことが多い。しかし、残念ながら、その普通の人たちときちんとコミュニケーションを図れることこそ、サポート技術者として良い仕事をするための前提条件である。多くの組織では、サポート技術者は、ユーザーがIT部門とやり取りするための窓口的な存在となっている。サポート技術者はギークと普通の人たちとの通訳の役割を果たし、ユーザーと絶えず連絡をとって最新情報を知らせる責任を負っている。

  どのような依頼であれ、ユーザーとの連絡を欠かさないことは、その仕事をやり遂げるために必要不可欠である。ユーザーに満足してもらうためには、依頼を受け付けたという確認の返事から始まって、実際の処置、そして処置を終えた後のフォローアップの電話まで、きちんと行う必要がある。対応が遅れる場合でも、そのことを事前に知らされており、それに応じて日程を調整できれば、たいていはユーザーも了承してくれる。

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