教育+クリエイティブ市場で強み
今日のMacの市場シェアは、国内、海外ともにおよそ3〜5%で、パソコンメーカーとしてはトップ10にぎりぎり入るくらいの位置づけだ。ただし、特定のセグメントでは、逆にMacが圧倒的シェアを誇っている。
Macが特に強いのは教育市場とクリエイティブプロフェッショナルの市場である。クリエイティブプロフェッショナルというのはDTP出版やグラフィック制作やイラストデザイン、映像編集といった分野だ。またミュージシャンや現代美術作家の間でもMacユーザーが多い。
教育市場では米Dell社の追い上げが激しいものの、いまだに首位を保っている。Mac OS Xの登場前は米国だけの話だったが、Mac OS X登場後は「NetBoot」という機能が高く評価され、1149台を導入した東京大学を皮切りに、国内の大学機関でも相次いで採用されている。NetBootとは、Mac本体を内蔵のハードディスクではなく、サーバ上に用意されたOSから起動する機能だ。機関導入では、ハードディスクの動作不良などのトラブルやそのメンテナンス、OSやアプリケーションのアップデートが深刻な問題になってくる。NetBootを導入すれば、そうしたことがサーバの側で一元管理可能になる。
同様の理由から最近では米国の政府機関や大手企業でもMacを採用するところが増えてきた。日本でもあおぞら銀行が全パソコンをMacに切り替えている。Macにはウイルスやマルウェアが今のところWindowsに比べて少ないのも、採用の上で大きな要因となっている。
さまざまなIT技術を生み出すUNIX系開発者達にも、Macを使う人は多い。これはMac OS Xの基盤がBSD系UNIX OSとなっているからだ。実はMac OS Xは、史上最大規模のユーザーを持つUNIXとしても注目を集めている。
2004年以降は携帯型音楽プレーヤー「iPod」の爆発的ブームで、それまでMacに関心を持っていなかった人々もMacに興味を持ち始めた。Appleは安価なMac miniを発売したほか、Windowsとの特徴を比べた「Get a Mac」という広告キャンペーンで、MacでもMicrosoft Officeが動作し、日常のほとんどの作業がこなせること、iLife '06という付属アプリケーションを使って音楽や写真、ビデオを簡単に活用できることを訴え始めた。
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2006年7月現在、Macの製品ラインアップは64ビットCPUのPowerPC 970シリーズ(PowerPC G5)を搭載した「Power Mac G5」と「Xserve G5」を除くすべてがインテルCPUへの移行を完了した。
残す2製品の移行計画については8月開催の世界開発者会議で発表されるとみられている。Macユーザーの目下の関心事は、PowerPC 970の代わりに、AppleがIntel製のどのCPUを採用するかだ。