これにより最も販売数が多いのが、商品Cであることや、東京店であることが分かる。加えて商品別かつ店舗別の2つの切り口で集計した表(クロス集計表)にしてみるとどうなるだろうか?
東京店 | 大阪店 | 名古屋店 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
商品A | 1 | 0 | 15 | 16 |
商品B | 4 | 7 | 7 | 18 |
商品C | 60 | 6 | 0 | 66 |
総計 | 65 | 13 | 22 | 100 |
すると、全体で最も売れている商品Cのほとんどが東京店で販売されていることや、名古屋店では全体で最も販売数量が少ない商品Aがたくさん売れていること、各店でまんべんなく売れているものが商品Bであることなどが分かる。この情報は仕入れ数量を決める際や、販売キャンペーン実施の際の指針として活用することができ、価値ある情報が引き出されたといえる。
さらにこのクロス集計表の内容を理解しやすいように、グラフにすることを考えてみよう。

グラフに表示することで、表から読み取れた傾向が直感的に把握することが可能となる。さらには、性別や年代を切り口とした場合の特性はどうだろうか? 前月や前年と比較した場合の伸び率はどうだろうか? 別の地域のデータと比べたらどうだろうか? といった疑問が次々と沸いて来てくるはずだ。
データに基づきこれらを分析し、抽出された有用な情報を共有し、事業の意思決定や組織活動に積極的に活用することが「考え方としてのBI」となる。
ここではわずか12件のデータなので、表1を眺めただけでも分析は可能かもしれない。しかし、データ件数が何万件、何億件と増えた場合や、分析の切り口がたくさんある場合は、明細リストを見ての分析は困難となる。また、ひとりの人が価値ある情報を持っているのではなく、組織内で情報共有/蓄積する仕組みを考える必要がある。そこで重要となるのが、「情報システムとしてのBI」だ。
以前であれば、データの分析/活用を行う際、自分の欲しいデータの格納場所やデータ名称、そして問合せの際データベース言語(SQL)などの専門知識が求められた。したがって、一般ユーザーや経営層がデータを活用する場合、専門の部門にデータの抽出や加工を依頼していたため、必要な情報を入手する際に時間を要することが多かった。しかし、情報システムとしてのBIの進化により、専門家に頼ることなくエンドユーザー自らがデータの分析を行い、迅速に意思決定する環境が実現できる。
情報システムとしてのBI
それでは実際にどのようなシステムとなるかをみてみよう。ここでは全体のシステムを捉えた広義のBIと、データ分析/活用を行う狭義のBIに区分することとする。
