ユーザーのITサポートに対する10の不満

文:Becky Roberts 翻訳校正:吉井美有

2006-07-18 15:28

 さまざまな不平不満とその解決方法は、TechRepublicでも相変わらずホットなトピックのようだ。ITマネージャやサポート技術者が抱えている不満やCIOに対する不満が語られている。しかし、どの記事を読んでも、われわれにとって最も重要な人たち、すなわちユーザーの意見は掲載されていない。

  そこで、このアンバランスを是正しわれわれ自身の不満を客観的に捉えるために、われわれIT専門家に対してユーザーが抱いている不満を尋ねてみた。以下にユーザーの不満を順不同で掲載する。また、そうした不満の解決策または回避策についてもわたしの考えを述べてみる。

#1 アプリケーションやハードウェアが動作しない

  かなりの数のユーザーがこの問題を挙げ、使えると思っていたアプリケーションの機能が使えないときのフラストレーションを訴えていた。いくつかのケースについて調べてみると、確かにそうした問題があるのは事実だが、その原因については事実誤認があることが判明した。ほとんどの場合、明らかにアプリケーションまたはハードウェアの障害と見られるものが、実はユーザーの側の知識不足が原因だったのだ。

  もちろん、だからそうしたユーザーの不満は正当ではないなどと言うつもりはない。それどころか、ユーザーに新しいアプリケーションと周辺機器を提供しておきながらその使い方を教えていなかったという点で、こちらにも落ち度があると言わざるを得ない。この種の問題はなぜかデジタルカメラやスキャナでよく起こっており、こうした機器の使い方を教えるのは誰の責任なのかという新たな問題を提起している。今後ますます多くの電子機器がオフィスに導入されるようになると、こうした機器を使うにあたって必要なトレーニングをどの部署が担当するのかをはっきりさせておく必要がある。そうしないと、ユーザーの不満もIT部門の負担も大きくなるばかりだ。

#2 Wi-Fiの設定に一貫性がない

  これは、コンピュータに詳しい一握りのユーザーを除き、モバイルユーザーからよく聞かれる苦情だ。われわれは、社内ネットワークとリモート接続を確立するための処理を、必要なセキュリティが確保される範囲でできる限り簡単に行えるように努力しているが、それでもユーザーはこちらが不要と判断し、あえて見せないようにしていたWi-Fiの設定に出くわして悩むことが多い。ホテルのWi-Fiをインストールした担当エンジニアに深夜に連絡して、われわれのVPNソフトウェアを彼らの会社の許可リストに追加してほしいとか、会社側の設定を変更してほしいとか頼んでくるユーザーが多い。そうした変更を行おうとして拒否されることはめったにないが、われわれにとってもユーザーにとっても時間のかかる、ストレスのたまる作業である。

#3 コンピュータまたはネットワークの処理が遅い

  この苦情に対応するのは、サポートという職業上やむを得ないとはいえ、大変つらいものがある。わたしが勤務したどの会社でも、コンピュータの処理が遅いという苦情が絶えずあがっていた。マシンの起動、ページの読み込み、Wordの起動、ファイルのコピーなどに時間がかかり過ぎるというのである。こういった苦情を完全になくすことができるかどうかはわからないが、いくつかの対策を施すことで少なくともその数を減らすことはできる。例えば、頻繁にやり取りしたり、同じ職務をこなしているユーザーには、まったく同じか非常によく似たコンピュータを使ってもらうようにするという方法がある。こうしておけば、「同じレポートを出力しているのに、Fredのコンピュータはわたしのより5秒速い」などと直接比較されることがなくなる。コンピュータのパフォーマンスに関する苦情は非常に多いので、どうせ大した問題ではないと無視してしまいたくもなるが、そうせずに、別のアプローチをとることをお勧めする。ときには、ユーザーの言い分を真剣に受け止め、確かにそのコンピュータのパフォーマンスは望ましいレベルを下回っていると認める態度を示すとよい。そうすれば、たとえ何の処置も行わなくてもユーザーのいらいらを軽減することができる。

  もちろん、だからといってパフォーマンスに関する苦情をユーザーの感覚的な問題として無視してよいわけではない。処理速度が急に低下したとか、特定の操作を行うと処理速度が低下するといったケースは特に要注意だ。通常の手順に従ってスパイウェア、ウイルス、その他の潜在的な問題がないかチェックすれば、ユーザーは真剣に対処してくれていると感じるだろうし、何より、本当の問題点が明らかになることがある。以前、自分のコンピュータを再起動することを絶対的に拒否するユーザーがいた。再起動しないまま数カ月が経過したのだが、その間、われわれは、着実にパフォーマンスの落ちていくシステムと彼が格闘する様子を興味深く観察していた。結局、彼の再起動恐怖症は停電が起こるまで直らなかった。

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