大手百貨店である松坂屋では、日立製作所の「Groupmax Collaboration Version 7(V7)」を利用して全社的な情報共有基盤を構築している。このシステムでは、全社員が各種ワークフローや必要な情報にシームレスにアクセスすることができ、業務の効率化やペーパーレスに大きな効果をあげている。
内部業務改革に取り組む
松坂屋では2003年から2004年にかけて、ホストのリプレース(日立製の新メインフレームへの更新)とともにシステムの一部をオープン系へ切り替えた。この情報システム基盤整備の後に内部業務改革に着手し、プロジェクト「Matsuzakaya Value up Project 2005(MVP2005)」を策定。MVP2005は「やめる・へらす・かえる」をコンセプトに、内部業務の集中化・標準化を行うものであった。
営業支援の立場から内部業務を見直すことにより、ニューパワー(人・時間)の創造を目指すとしており、意識改革、業務改革、組織改革の3つを柱に構造改革し、その一環としてグループウェアのバージョンアップを計画した。
MVP2005はホストのリプレースを前提に行われたこともあり、新しいグループウェアは他システムとの充分な連携、親和性を確保する必要があった。この結果、ホストの開発運用を1967年から委託している日立製作所のGroupmax Collaboration V7を基盤製品として採用することとなった。
総労働時間数30%削減を目標
MVP2005では、内部業務の総労働時間数30%削減を目標としていた。それまで松坂屋は、全国に8店舗を展開し、店舗それぞれで催し企画などを行っていたが、MVP2005にあわせて全社的な取り組みや各店舗への営業支援の内容を見直すこととした。
この目的に合わせて従来から使ってきたGroupmax V5をGroupmax Collaboration V7へバージョンアップし、V7で標準提供されたポータル機能を使って全社ポータルを構築し、メール、スケジュール、掲示板、ワークフローをすべてポータル経由で、ブラウザからアクセスできるようにシステム構築を行うこととした。

起票から承認のペーパーレスを実現
松坂屋ではそれまでも、いくつかの電子ワークフローをV5で構築していた。今回のバージョンアップにあわせて、さらに5種類の営業経費伝票、外商の顧客口座登録申請などのワークフローを追加した。従来のワークフローはクライアント/サーバ(C/S)型のソフト上で稼動していたが、新しいワークフローはすべてウェブ上に構築し、他のツールと同様にポータル画面上で操作できるようにしている。
この新しいワークフローの導入により、社員の働き方は大きく変化した。以前は外商先の顧客口座情報について、各店舗がそれぞれに別の登録用紙を作成・管理していた。この登録用紙に店舗で担当者が記入後、審査に回した後に本社に送付していた。
この登録・変更部分を電子ワークフロー化することにより、起票から承認のペーパーレスを実現し、店単位で行っていた登録申請や審査を一箇所に集中化したのである。この結果、審査担当者の集約や各店で作成していた用紙の削減というコストメリットを享受、さらにデータのやり取りの時間的制約がなくなるとともに、審査の仕組みが電子的に可視化されたことにより業務の透明性、公明性が確保された。
現在では海外出張所も含めて、全拠点でポータルにアクセスしてワークフローを使っている。
