ポータルを全体のハブとして他システムと連携
新システムの導入については、できるだけユーザーの新システムへの移行負担を軽減することを目的として、いくつかのカスタマイズを行った。コンセプトとしては、Groupmax Collaborationのポータル機能を中心に据え、ポータルを全体のハブとして、そこからホストやC/Sで構築された基幹系や情報系などの他システムとの連携をシームレスに行える構成としたのである。
例えば、外商の顧客データについては、ホストコンピュータによるマスター管理を行っているが、ワークフローを用いてウェブ上から申請したデータをシステムでそのままホストに引き継ぐ仕組みとした。営業担当者が新規口座の登録申請、住所変更などの変更申請をワークフローへ入力すると、データがホストコンピュータに連動されマスターが更新される。これにより、口座の登録から請求書発行までの一連の流れがポータル上でスムーズにつながった。

手間を省く
また、各ワークフローのユーザーフォームを直感的に利用できるようにしていることも特徴的だ。データの登録担当者が理解しやすいよう、新システムのフォームのユーザーインターフェースは紙で行っていた登録用紙のイメージをそのまま踏襲した形でシステム化した。
これは、日立製作所の「電子フォームワークフローセット」という電子帳票と電子ワークフローを作成する製品を使って実現されているが、これによりユーザーは用紙に記入していたときと同じように違和感なくデータを入力し、申請を行うことができる。
フォーム上には、コードの検索機能なども組み込まれており、顧客番号を入力すると、ホストから顧客情報を読み出し、画面上の必要な項目へ自動記入される。その都度、ホストやワークフロー内のデータベースを照会・参照したり、データを二度打ちするといった手間を完全に省いた。

その他、直感的なユーザーインターフェースを目指して、システム各所にかなり気を遣ったカスタマイズを実装している。ポータル上にはワークフローの未読件数を表示し、社員の検索は組織名抜きで個人名のみで探せるようになっているなど、細かい工夫を実施した。また各部が通達発信を行い情報が集中化する掲示板では、個人ごとに未読・既読の切り替えができるだけでなく、部署をまたがったビューでの閲覧、添付ファイル内も含んだ全文検索機能を提供した。
全データを完全移行
Groupmax Collaborationではバージョンアップ時にも上位互換性を完全に確保している。その結果、今回も新システムへの移行に際してはほぼ全データを完全移行できた。例外となったのは対象外となった一部ワークフローのみであり、これらについては旧バージョンのC/S版Groupmax Collaborationの機能をそのまま残して、ポータルからリンクすることで対応している。
ウェブ型のシステムだということで、社員もインターネットなどで操作については慣れてきており、操作教育は特に大きな問題とはならなかった。それでも導入時の宣伝・啓蒙については手厚く対応したという。
社内のリーダークラスへの教育を行い、マニュアルを作成し、イントラネットやポータル上に掲示するだけでなく、期間限定のヘルプデスクを開設し、リモートクライアントコントロール機能を利用した遠隔操作によるサポートも提供。これらによりユーザーの質問を受け付け、場合によってはサポート側がユーザーの端末を直接操作しながら操作支援や指導を実施したのである。
当初気にしていた、C/Sからウェブへの移行によるパフォーマンスの低下については、実際にはほとんど気にならず利用できているという。特にワークフローの呼び出しやデータの読み込みなどにストレスは全くなく、かなりキビキビとした動作を行っており、このあたりにもGroupmax Collaborationの高い完成度が貢献している。