松坂屋でのグループウェア利用の実態や方針、今後の展開などをキーマン4人に話を聞いた。
標準化を目指して業務手順を統一化
Q:システムの導入効果については、どのように考えておられますか。

古屋:結果としての効果というのは目に見える部分と見えない部分があります。以前ですと、単純にシステム変更により人が何人減りましたという目に見える評価を出しやすかったのですが、最近では、該当業務の精度アップやレベルアップ、維持など、そういった目に見えない数値に置き換えにくい効果の方が多くなってきています。
ユーザーから見て使いやすくなったかどうかという評価については、今回はあまり考慮をしていません。というのも、標準化を目指した業務手順を統一化、効率化を優先したことによって、便利になったことよりも我慢しなければいけなくなったこともあるからです。一部のユーザーには喜ばれない場合が多少あったのではないかと思います。
単体のシステムではなく複合システム
Q:このような情報系のシステムについては旧来、費用対効果が非常に説明しにくいといわれていますが、どのように説明されたのでしょうか。
夏目:このシステム自体で投資効果というのはなかなか出ないと思っています。情報系のシステムというのはもはや、単体システムではなくて複合システムなんですね。ですから、全体の中で取り組まないと話が進んでいかないと考えています。

私どもは情報システム基盤整理の中で、ホスト、オフコン系、PC、ネットワーク系、それら全部一式を含めて全体最適をするのだというトータルな提案を経営会議にかけました。その中ではそれぞれの効果がどうかという問題もありますが、ひとつひとつを検証したのでは導入ができません。全体で判断をしてもらいました。
ただ、けっして安い買い物ではないですから、1998年からの投資や人件費も含めた情報システム部門の経費を時系列で視覚化して説明しました。項目には開発費だけでなく、リースや委託費も入れまして、向こう5年間の予定費用が、過去5年より下がるという数字を出して経営陣への説得材料としました。
Q:帳票を電子ワークフローにしたことによる、現場の混乱などはありましたか。例えば、ワークフローを承認する上司の不在などによるフローの停滞などはなかったのでしょうか。

六車:出張経費の事前申請などは、上司の承認がなくても、切符などの購入はできるようになっています。上長がいないために出張ができないというのでは業務上困るので、本人の自己責任や裁量権限というものもシステム的にきちんと考慮して構築しました。
ただし、顧客口座台帳は従来店舗ごとに独自の様式を使っていたのを、全店でフォームを統一したために、最初のころに一部では少し混乱があったかもしれません。しかし手続きが標準化されて、透明性を上げることが今回の大きな目的のひとつでしたので、この点には理解していただき納得してもらいました。
決裁のさらなるスピードアップを目指す
Q:システムの課題や今後発展させていきたい点があれば、教えてください。
夏目:できれば、営業社員に対しPCを1人1台体制にしたいのですが、端末の費用のみならず、ポータル利用も含めて複数のシステムにおいてライセンス費用が増加するため、ためらいがあります。

スケジュール機能は、Groupmax Collaborationのコミュニティ機能、電子会議室機能などとの親和性から考えると、Groupmax Collaborationのものを利用した方が良いとも思っていますが、1999年に導入した頃のGroupmax V5でのスケジュール機能は、使い勝手がよくなかったことから、別途購入したスケジュール製品を使っています。すでに購入した製品であれば、追加のライセンスなどコストがかかりませんから。
村上:Groupmax Collaborationでは、スケジュール機能が、今回購入したスイート製品に標準で同梱されたこともあり、営業でのノウハウ共有に、コミュニティ機能を活かした組織横断の営業ノウハウの共有機能を使う意向もありますので、今後切り替えを検討したいと思います。
あとは旧バージョンのワークフローで動いている稟議システムを、新バージョンに切り替えたいと思っています。また、現在はシステム化していない営業の申請業務もワークフローに載せたいと思っています。最終目標は決裁のさらなるスピードアップですから。
その他には、通達関連でしょうか。現在は発信部署が紙での保存をしているが、日本版SOX法などの絡みで今後は対策を考えないといけないと思っています。