このように、企業がブログやSNSに注目しているのは、ネット上での新しいコミュニケーションスタイルを確立するためというのが主な理由です。最近、人々がより簡単、より活発にネットに参加するようになることを「Web 2.0」という言葉で呼んでいます。企業がブログやSNSを活用するのはWeb 2.0の時代に対応するため、と言えるかもしれません。
今後の展開は?
それでは今後、企業はどのようにブログやSNSを活用していくのでしょうか。様々な可能性がありますが、ここでも3つの方向に絞って考えてみたいと思います。
1. 特化型サービスの拡大
まず予想されるのは、特定の分野に限定したブログやSNSが増加することです。現在も医師向けブログ、看護婦向けSNS、ゴルファー向けSNSなど、毎日のように新しいサービスがスタートしています。こうした特化型のブログやSNSは、これまで未開拓だった分野でユーザーを得る可能性があります。また目的に合った特別な機能を提供することで、他サービスからのユーザーの乗り換えや同時利用も期待できるでしょう。新規性や独自性を打ち出せなければ、ユーザー集めに失敗する可能性も高いのですが、チャレンジしようという企業は今後も続くことが予想されます。
2. マルチメディア化、多機能化
ブログやSNSに関連したニュースを見ていると、ポッドキャスト(podcast)やビデオポッドキャスト(video podcast)、ブイログ(vlog)といった言葉を目にすることがあります。これらはブログと同じスタイルで音声や音楽、動画を配信する技術です。テキスト主体の情報発信よりも注目を集めやすい上に、技術的にも簡単になってきています。
またブログ上に地図を表示させたり、SNS上でオンラインショッピングを可能にするなど、ブログやSNSを多機能化する試みも現れています。参入する企業が増えれば増えるほど、マルチメディア化・多機能化で差別化しようという企業が増えてくるのではないでしょうか。
一方、SNSの日記機能をブログ並みに強化したり、ブログにSNS的な機能を加えたりする企業も増えています。ブログとSNSの境界線、さらにはEコマースサイトなど他のサービスとの境界線が次第に薄れていく可能性もあります。
3. 企業内での導入
ブログやSNSが優れたコミュニケーション手段であるならば、社外向けだけでなく社内向けにも活用されて良いはずです。実は既に「社内ブログ・社内SNS」と呼ばれるシステムを導入する企業が現れており、成功事例も数多く報告されています。今後は社員1人1人がブログやSNS上のマイページを持ち、情報発信や社内ネットワークの形成を積極的に行うことが一般的になるでしょう。
以上3つの可能性以外にも、あっと驚くような使い道を考える企業が出てくるかもしれません。いずれにしても、コーポレートブログや企業向けSNSがニュースをにぎわす状況はしばらく続きそうです。各社の取り組みを見て、どんな狙いがあるのか、業界や消費者にどんな影響を及ぼすのかを考えてみても面白いのではないでしょうか。