#11:知識を新しい状況に適用する能力
この能力に論理的、創造的に考える力が加われば、優秀なトラブルシューターに必須の資質が形成される。筆者がいっしょに仕事をしたことのある技術者の中にも、よくあるお馴染みのトラブルに対しては定められた手順に従って手際よく仕事をこなせるのだけれど、今までに見たこともないトラブルに出くわすとまったく身動きがとれなくなる人がいた。こうした初めてのケースに対しても自分の持っている知識を柔軟に適用できる能力は非常に重要だ。起こり得るすべてのシナリオを教えるなどまず不可能だからだ。トラブルシューティングという作業の性質上、知識を応用する能力は不可欠である。
#12:テクノロジーに対して個人的に興味を持ち、それを仕事に活かす
これをサポート技術に必須の資質に含めるかどうかは正直迷った。わたし自身、ある会社の面接で「寝ても覚めても技術のことばかり考えているような人」を求めていると言われて、退席してしまったことがあるからだ。わたしの経験では、そういうタイプの人は、人間関係をうまく構築できないので、サポート技術者としては成功しないことが多いようだ。それはそうなのだが、技術に対して個人的に興味を持つことなく、単に仕事とみなしている人を雇うと、最新のテクノロジーについて始終教えないといけないし、仕事に対する情熱や興奮を引き出すように配慮してやる必要があるので大変だ。新しいテクノロジーに積極的に関心を持ち、そうしたものにワクワクして仕事に取り組む技術者がいるかどうかは、ユーザーサイトに新しい環境を導入するときに大きな差となって現れる。新しい環境を導入するとき、環境の変化に対するユーザーの反応は、サポート技術者によって事実上決まってしまうと言ってもよいからだ。新しい環境が導入されると、業務をこなすために新製品の操作を覚える必要があるので、ユーザーには相当なストレスになる可能性がある。技術者が新製品に対してワクワクした気持ちで積極的に取り組んでいれば、ユーザーも触発されるし、安心できる。