トライアルが始まったばかりの日本市場も大規模導入は時間の問題--グーグルが目指すエンタープライズ検索の姿 - (page 2)

聞き手:山下竜大(編集部)
構成:富永康信(ロビンソン)

2006-09-20 12:02

--他のベンダーは検索エンジンをソフトウェアで提供している中、グーグルはアプライアンスという手法を取ったことも興味深いですね。

 それも、ユーザーにとってはアプライアンスで提供した方が使いやすいのではないかという判断からです。検索にはスピードも重要な要素となります。そのため、メーカーとしてある程度のスピードを担保するためには、事前にハードウェアのスペックを決定し、検証を繰返した製品を提供した方が確実だという考えです。導入の手間や時間を削減できるメリットも、アプライアンスにはあります。

--ESP(エンタープライズ・サーチ・プラットフォーム)を導入する企業では、そのままの形で導入する企業は3割のみで、残りの7割はアプリケーションや企業システムに組み込ませるインテグレーションで導入するといわれています。それを考えると、アプライアンスは不利という気もしますが。

 「アプライアンス=ブラックボックス」的な考えをお持ちの方も多くいらっしゃいますが、企業への導入に必要な部分、例えばアクセス制御やデータベースなど、他のシステムとの連携部分は、グーグルエンタープライズデベロッパーコミュニティにおいて全てのAPIを公開していますので、それを活用してコネクトすることも十分可能です。また、有力なアプリケーションベンダーからも、コネクタやモジュールなどが提供されています。

 さらに、特別なアプリケーションの場合でも、「グーグルエンタープライズ・プロフェッショナル・パートナーズ」プログラムに協賛する各社から開発支援を受けることができます。以上を見る限り、ソフトウェアに対して決して不利とは考えていません。

--多くのベンダーの取り組みをみると、それぞれに目指す市場や得意分野が微妙に異なっていますが、グーグルの差別化ポイントとは何なのでしょうか。

 ひとつは、デスクトップからインターネットまで、一気通貫で検索を可能にしているところが強みであり、インターネットのユーザーをエンタープライズ検索にもシームレスに取り込めることも差別化要因だと考えています。また、手間のかからないアプライアンスでのメリットもそれに含まれます。

 検索技術そのものを支える開発者の数や企業体制など、サーチ専業ベンダーであることも大きなアドバンテージだと思っています。

--日本の企業がESPを導入するためのスタートポイントはどんな点なのでしょう?

 欧米に比べ、日本はESP市場が立ち上がってもいない状況だといえるでしょう。欧米企業のように統合検索基盤を構築するほど、大規模に導入している企業は日本では皆無に近いですね。その壁になっているのが、ROI(投資利益率)や費用対効果の承認です。企業としては当然ですが、まだそれらが導入を左右するということ自体、マーケットの現状を証明しているといえるでしょう。

 そんな中、中小規模事業者向けの検索アプライアンスであるGoogle Miniを2006年4月に発表しましたが、こちらは順調に売上を伸ばしています。実は、そのユーザーには大手企業が多いのです。この事実からも、トライアル的な導入は始まっていることがわかります。今後、それがより大きなシステム基盤への導入につながればと期待しているところです。

--企業の現場では、デスクトップサーチを利用している人は増えているようです。その必要性は既に認められていることを考えると、導入の理由さえ整えば、エンタープライズ検索の導入も急速に普及すると考えられるのですが。

 そう思います。ただし、無償で提供しているデスクトップサーチさえも、利用していない方がまだまだ多いのが現状です。社内の規定で勝手に導入できないという事情もあるでしょうが、依然としてギャップを感じています。

 ただ、欧米では大型導入も相次いでいる状況ですので、日本でその流れが始まるのも時間の問題ではないかと思っています。

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