また、「どの顧客にとっても、統合が最も大きな課題であり挑戦だと考えている」とする同氏は、EITMの副次的効果でIT管理技術の統合スイートを作ることができることを示している。今後CAの製品を利用する際には、この共通のプラットフォームで共通のワークフローやアイデンティティ管理、アクセス制御が可能になり、ここにデータベース管理も格納することができるという。
「このプラットフォーム上で、全てのオペレーションやインターフェースが提供されるようになる。既存の環境からCAの統合プラットフォームへ統合することで、既存の環境を変えずに拡張することもできる。しかも、今利用しているアプリケーションを引き剥がす必要はなく、現状のままCAの新しい環境に簡単につなげられる」(Nugent氏)
CAが創出したのは単一論理のリポジトリ導入
今後、この技術を採用することによって、「企業の内部統制レベルが格段に向上することになる」とNugent氏は言う。さらに、環境を自動化しガバナンスを可能にすれば、複雑性の軽減やビジネスの機敏性、監査可能なプロセスが実現できると自信を見せる。
「運用はより最適化され、安価になり効率化が図られる。リソースもより動的な形で環境の中に再配置されることを意味する。ビジネスの脅威となる問題や、ビジネスの増大など、さまざまな課題に迅速に人的配備をすることができるようになる」(Nugent氏)
また一方で、ポリシーベースにより、日常的な手作業から脱却できることにもつながるという。一定のポリシーがあれば、ITの全体的な機能管理と、より緊密に統合されるモデリングやプランニングに摺り合わせしやすくなる。
さらに、情報の品質が向上し、よりオープンなインターフェースをSOA環境で生かすこともできる。自前のシステムとCAの技術とを、高いレベルでの統合性を確保できるというわけだ。
ただし、ポリシーベースによる管理は、個別のリポジトリをそれぞれのアセットクラスに付与させるということではない。統合プラットフォームの中でCAが創出したのは、全てのポリシーがらみのエレメントを包含した形での、単一論理のリポジトリ導入である。これを同社では、「MDB(Management DataBase)」と呼んでいるが、「ODS(Operational Data Store)」と同義という。
既存のシステムと統合しやすいよう、インプリメンテーションを連携した形で実施することにより、全てのアセットクラスにポリシーを活用することができる。例えば、経営管理ポリシーを作る上で、ネットワークやシステム、アプリケーション全てを包含し、かつそれらを相関させる作業も必要ないという。
ITの課題はコンプライアンスと可用性
「今日、ITのなすべき2つのこととは、“コンプライアンス”と“アベイラビリティ(可用性)”ではないだろうか。これらの頭文字は偶然にもCとAになっている」と話すNugent氏は、現在コンプライアンスの複雑性が課題となっているという。
これらから、継続的なコンプライアンスはあらゆる分野に影響するこということがわかる。米国の企業は、SOX法のことをプロジェクトと捉えて実施したため失敗するケースが多かった。SOXはプロジェクトやイベントではなく、事業に組み込まれ持続性を持ったコンプライアンスと捉えるべきだったと同氏は警告する。