「データセンターでは管理者のコスト高が課題だが、今後サーバと管理者の比率を20台に1人という割合に、将来的には完全な遠隔管理や自動化によって200台に1人という割合まで低減させたい」--こう話すのは、Hewlett-Packard エンタープライズストレージ&サーバ ビジネスユニット インダストリースタンダードサーバ事業担当 シニアバイスプレジデントのJames Mouton氏だ。同氏の来日にあたり、日本ヒューレット・パッカード(HP)は10月17日、x86サーバおよびブレードサーバの事業戦略説明会を開催した。
完全な自動化が可能になれば、データセンターでの「Lights-Out」(電気が消えた状態)が実現する。この状態を目指す戦略としてHPでは「アダプティブインフラストラクチャ」を推進しているが、その中でもブレードサーバは「重要な位置づけだ」とMouton氏はいう。
「これまでは、ハードの技術力が重要視されていたが、これからは価値提案が必要になってくる。価値提案することでハードウェアそのものの価値も上がるためだ。ブレード製品は、単にCPUの入ったボックスではない。すべてのコンポーネントを物理的に統合するもので、スイッチや電源、冷却装置など、すべてのエコシステムがブレードの中に収まっており、顧客に価値を提供できるものだ」(Mouton氏)
HPの提供するブレード製品は、「HPインサイトコントロール」「HPサーマルロジック」「HPバーチャルコネクト」などの技術を取り入れている。インサイトコントロールは管理工程を効率化するための管理ソフトウェアで、サーマルロジックは光熱費の予算に応じて電力と冷却を調整する技術。また、バーチャルコネクトは、ブレードサーバの移動や交換時に、LANなどの設定を変更することなく移動先でもサーバが同じ設定を使えるという機能だ。
また、パートナーとも連携し、ベストオブブリードのソリューションを提供すべく、「HP BladeSystem Solution Builder Program」を実施、152社のパートナーと共に顧客に合ったソリューションを構築している。
x86サーバに関しては「日本での成長率が非常に高い」とするMouton氏だが、IDC JapanによるとUnixサーバも含めた2006年4〜6月期の金額ベースでの国内シェアは、5期連続2位だったHPが3位へと後退している。これについてMouton氏は、「数字はともかく、今後も積極的に競争を続ける。HPは豊富なポートフォリオでさまざまなアプローチができる。特に、6月に発表した新世代ブレード製品のBladeSystem c-Classは、統合化、仮想化、自動化が可能な優位性のある製品だ。また、ProLiant 300シリーズは、デュアルコアCUPやクアッドコアCUPなども含め、技術的な価値を提供できる。ローエンドのProLiant 100シリーズでは、低コストで提供できることはもちろん、よりモジュール化を進める。今後もこうした製品群で顧客に価値提案していきたい」と述べた。