備えあれば憂いなし?--データ復旧ソフトの効果的な利用法 - (page 2)

柴田克己(編集部)

2006-10-26 00:05

データ復旧ソフトウェアでできること

 ユーザーがHDDやメモリデバイスを利用していて、うっかりデータを削除してしまったり、物理的な故障でないにもかかわらず突然データが読み込めなくなったりした場合には、データ復旧ソフトウェアを利用することで、個人でも必要なファイルを取り戻せる可能性がある。

 現在、多くのメーカーからデータ復旧のためのソフトが発売されている。その価格帯も、機能によって1万円弱から数十万円のものまでさまざまだ。

 古くからデータ復旧ソフトウェアを開発、販売する企業のひとつに「ファイナルデータシリーズ」のAOSテクノロジーズがある。同シリーズは、1999年末に最初のバージョンが発売されており、最新バージョンである「ファイナルデータ2006」には、データ復旧の基本的な機能を持つ「特別復元版」(1万3440円)をはじめ、「特別復元+抹消Pro版」(1万6590円)、「復元+Office修復」(1万6590円)、「特別Office修復版」(2万790円)、「特別ネットワーク版」(4万1790円)と、機能別に5種類のラインアップがある。

 同社でソフトウェアカンパニー開発部のチーフマネージャーを務める山下礼士氏は、「ファイナルデータシリーズはコンスタントに売れ続けている。現在では、PCに詳しい人だけでなく一般ユーザーも“データ復元”の意味を理解しており、ソフトウェア自体の利用者の層も広がっている」と話す。

 ファイナルデータシリーズではこれまでのバージョンアップにおいて、OSのバージョンアップに合わせて変化するファイルシステムへの対応や、断片化(ひとつのファイルが、分散してデータ領域に書き込まれた状態)に対する分析精度の向上、初心者にも利用しやすいウィザード形式のユーザーインターフェースの採用といったさまざまな面での機能強化、ユーザビリティ向上を行ってきたという。

 「AOSテクノロジーズでは、丸6年の経験の中で、ファイル復元に関するさまざまなケースを扱ってきた。ファイルシステムに対する理解については、他社とも大きな差はないかもしれないが、クラスタサイズ、ディレクトリエントリのスキャン、クラスタのスキャンに対する理解、また、断片化したファイルを残された情報をもとに統合し、最終的にユーザーが使えるデータに“修復”するといった部分に関しては、これまでどれだけ多くの件数を扱ってきたかで機能差が出てくるのではないか」(山下氏)と、自信を見せる。

 ここで言う「修復」とは、ファイルとして認識できる形に「復元」したデータに対し、MS Officeやデータベースなどのアプリケーションから問題なくオープンできる形で、データフォーマットに整合性を与える機能のこと。ファイナルデータ2006では、「復元+Office修復」より上位の製品にこの機能が搭載されており、Word、Excel、PowerPoint、Access、MPEG、Oracleエクスポートファイルに対する「修復」が可能になっている。データの内容自体が破壊されてしまっていた場合の修復は難しいが、復元したはずのファイルがアプリケーションでまったく開けないといった状態は回避することができるという。

 対応するファイルシステムは、主にWindows系で使われているFAT 12/16/32、NTFS4.0/5.0/5.1に加え、CDFS(CD-ROM)、UDF1.5/2.0(光ディスク)、最上位版となる「特別ネットワーク版」では、Ext2/Ext3(Linux)にも対応しており、Linuxで構築したサーバや、組み込みOSとしてLinuxを利用しているNASなどでのファイル復元も可能だ。この「特別ネットワーク版」では、データの拡張子とデータ形式をカスタマイズすることによって、企業で利用している独自アプリケーションのデータ復旧にも対応するほか、ネットワーク越しに動作するエージェントプログラムも利用できるため、IT部門がリモートでのサポートツールとして採用するケースが多いという。

ファイナルデータ画面 ファイナルデータ2006特別復元版。ウィザード形式のユーザーインターフェースのほか、より高度な復元を行うためのエクスプローラ風操作画面も利用できる。

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