適切なITインフラ構築に向けた「IT構造改革投資」とは? - (page 3)

富永康信(ロビンソン) 2006年11月02日 18時05分

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最もシステム化が遅れているのはIT部門

 内山氏は、内部統制環境と各ソリューションとの関係についても語った。

 「今後日本版SOX法対応を進める場合、不正のチェックやアクセス制御、承認のワークフローなどの機能を盛り込んでいるかが問われてくる。しかし、アプリケーションごとに内部統制機能を組み込んでいくのではない。今後新規にシステムを組んでいく場合、それらはサービス化され、ミドルウェア層で吸収していくと考えられる」(内山氏)

 では、内部統制環境としてのアプリケーション基盤のあり方とは何か。まず内山氏は、ストレージやネットワーク、サーバの環境における仮想化や統合化、全体最適化などが、適正なITインフラとなってアプリケーション基盤を支えていくとする。さらに、BPM(ビジネスプロセス管理)やSOA(サービス指向アーキテクチャ)、ESB(エンタープライズサービスバス)などがアプリケーションを容易に差し替えが可能な構造にし、適正な業務処理を可能にしていくと説明する。

 「今後、内部統制への関心の高まりを受けて、情報システム基盤の見直しが迫られることが予想される。しかし、統制に傾注するあまりに、活用や柔軟性が阻害されることがあってはならない」(内山氏)

統制環境としてのアプリケーション基盤のあり方図 統制環境としてのアプリケーション基盤のあり方。図は、アイ・ティ・アール内山氏のプレゼンテーション資料より。

 そこでカギとなるのは、適正な運用管理だ。今後システムが肥大化し複雑化する中で、定常費用が膨大になってくる。さらに、戦略的な投資を行ったとしても優秀なIT人材の不足が深刻な問題となる。内山氏は、「企業内でも最もシステム化が遅れている部門はIT部門」と述べ、IT部門の業務はシステムで自動化、合理化されているとは言えないと指摘した。少ない人数で運用できるよう、自動化や監視・管理、セキュリティなどを、合理的に低コスト運用できるような環境を作る必要があるという。

仮想化はITインフラ投資における最有力候補

 基調講演における最後の話題は、現在注目を集めている仮想化に関するものだった。

 2006年8月に、IDGジャパンとITRが行った調査によれば、ようやく日本でも、5社に1社はサーバおよびストレージの仮想化技術を導入している段階に至ったという。また、半数の企業では、導入の予定はないが関心は持っており、3年後には約4割の企業が仮想化技術を導入する予定と回答しているという。

 一方、北米企業では、ここ1年弱でサーバの仮想化が急速に進み、全体の約6割の企業に及んでいるという。また、導入後の満足度も高く、仮想化予算を今後増やすと答えた企業は約8割としている(フォレスターリサーチによる2005年5月の調査より)。この結果から、「仮想化はITインフラ投資における最有力候補」と内山氏は断言する。

 では、仮想化によってもたらされるメリットを、企業ではどのように考えているのだろうか。先のIDGとITRによる国内調査では、「ITリソースの効率的な活用(余剰リソースの削減や新規プロジェクトなどでの活用)」を7割以上の企業が期待し、「運用管理に要する労力やコストの削減に対するメリット」も5割以上が望むという結果になっている。その他にも、「フェールオーバーによるバックアップ/リカバリにおけるBC(ビジネス継続性)の向上」、「繁忙期や曜日、時間など一時的にITリソースのキャパを超える際の迅速なリソース確保」、「分散処理によるパフォーマンスの向上」と続く。

 しかし、サーバ自体のコストは急速に低下していることから、企業がピーク時に合わせて多めにサーバを配置すればよいという考えに陥りがちであることを内山氏は懸念する。サーバの台数が増えれば、運用管理に要するコストは膨大なものとなってはね返ってくる。「現在はサーバ費用より、管理者の人件費の方が高いことを忘れてはならない」とする。

 内山氏は、「仮想化によるメリットは、既存の余剰リソースに、柔軟にアプリケーションを配備できる環境変化への適応性や、サーバ統合によるコスト削減などにある。またサーバの仮想化も含むSOA的システム構築などに、中長期的なITインフラの継続性が求められていくだろう」と語り、講演を締めくくった。

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