--ミラポイントは、そもそもメールアプライアンスの提供からスタートし、その後、セキュリティに関する機能を付加してきています。メッセージングシステムやセキュリティシステムを個別に提供するベンダーと比べて、どのような優位点があるのでしょうか。
我々は、セキュリティはメッセージをデリバリする上で、必須の機能だと考えています。その中でもミラポイントが特にユニークなのは、「RazorGate」のようなセキュリティ製品が、メッセージングの製品と同じコードベースで作られている点です。機器に流れるビットストリームだけを見ているのではなく、ユーザーごとに特定されたメッセージをシステム上で認識できるほか、何か問題が起こった場合でも対応や復旧が容易です。
RazorGateは、ミラポイント以外のメールシステムにも組み込んで利用できるもので、米国や欧州を中心として急激に売上を伸ばし、現在では全体の40%を占めるほどになっています。
--RazorGateでは、特に誤認識率が極めて低いというアンチスパム機能が売りのひとつになっているようですが、スパムソリューションへの需要は大きいのでしょうか。
はい。今でも、アンチウイルスの必要性は変わりませんが、今後のビジネスドライバーとしてはスパムメール対策の機能が重要だと考えています。われわれがアプライアンスとして提供するアンチスパムの機能では、ユニークなヒューリスティックによるスパム判別を行っています。これは、個別のメールの内容を見るというよりは、公衆網からISPへと入ってくるトラフィックのパターンを見て、大量発信などのスパムメール特有のパターンに含まれるメールに対して、スパムの判別を行うものです。ユーザーはメールの内容を見ることさえなく、スパムメールをブロックすることができます。
--SOX、J-SOXといった新たな法制への対応ニーズは、ミラポイントのビジネスにおけるドライバーとなっていますか?
米国におけるSOX法の施行は、メッセージングシステムに必要となる要素を広げるためのドライバーとなりました。日本でもまもなく施行される、いわゆるJ-SOXに合わせて、10月中旬には「Compliance Vault」という製品を発表しました。これは、メッセージのアーカイブとリトリーブのための機能を提供する製品です。これも、RazorGate同様、他社製のメッセージングシステムに組み込んで利用することが可能です。
また、ミラポイントのメッセージング製品の場合は、初期のころから、商用で利用するサービスプロバイダーの顧客が数多くいたために、コンプライアンスやポリシーマネジメントに対応できるようなアーキテクチャができあがっている点も有利です。これらは、我々の製品にとって、いわば基本的な要件だったわけです。この機能を拡張しながら、個々の企業なりのポリシー設定やコンプライアンスに利用していくことができると考えています。
--今後のビジネスプランについて教えてください。
全体的な方向性として、メッセージングの市場は、今後ますます広がっていくと見ています。この分野が成長を続ける限り、ミラポイントではメッセージデリバリの分野に特化した製品を提供し続けていく考えです。その際、われわれが提供する製品でメッセージングインフラを統一する必要はなく、役割をセグメント化して、必要な機能のみをコンポーネントとして提供することで、企業にとっての導入効果を高めるというスタンスも継続していきます。
現状の日本市場の売上は、世界全体の18〜20%に達しています。全体のポテンシャルを考えると、この比率はかなり良いといえるでしょう。今後も、販売パートナーを拡充するなどの施策を通じて、全体での売上増加に寄与する市場として注力を続けます。