「MSの市場参入でユーザーが教育され、わが社が潤う」--競合を歓迎するシマンテック - (page 2)

藤本京子(編集部)

2006-11-16 12:28

 日本では、CAの方が日本市場に早くから参入していたこともあり、CAの存在感が大きいですね。しかし、Symantecは製品が優れていますから、数年経てば米国やヨーロッパと同じようにCA以上の地位を確立すると信じています。

--セキュリティとアベイラビリティの両面にフォーカスする企業が増えつつあります。そうなると、市場における競合の状況も変わってくると思うのですが。

 確かにそうですね。ただ、われわれは競合が増えることは歓迎すべきことだと考えています。市場が拡大しますから。このように変わりつつある状況の中で、大きな競合として登場した企業の1社はMicrosoftです。しかし、Symantecではセキュリティとアベイラビリティの両分野で年間数億ドルもの投資をしています。Microsoftも含め、他社はSymantecより数年遅れています。小さな企業は、R&Dに投資する資金が潤沢ではないため、今後さらに市場の統合が進むことも考えられます。

 Microsoftが市場に参入すると、一般ユーザーも認識が高まってきますから、市場が広がり、Symantecとしてもうれしい限りです。広がった市場に対し、われわれはよりよい製品を投入していくまでです。これからもわれわれはセキュリティとアベイラビリティの両分野でトップの地位を保つことができるでしょう。

--市場の統合といえば、やはり企業買収も起こると思いますが、Symantecが買収のターゲットとして興味を持つ企業にはどういった企業がありますか。

 企業名についてはコメントできませんが、Symantecは2004年12月にVeritas Softwareの買収を発表して以来、2005年にはSygate Technologies、WholeSecurity、BindView、2006年にはRelicoreなど、さまざまな企業を買収しています。CEOのJohn Thompsonもいつも言っていることですが、われわれのポートフォリオを拡充できるテクノロジを持った企業を常にウォッチしている状況です。

 買収はもちろんですが、SymantecにはR&Dの資金が潤沢にありますから、社内での開発も活発です。例えば、10月には米国で「Symantec Database Security and Audit」という製品を発表しました。データベースの動きを監視し、不審な動きがあればアラートを発する製品で、セキュリティとアベイラビリティがリンクした製品の例といえます。

--今後の製品リリースについて、お話しできる範囲で教えてください。

 Windows OSの新バージョンやサービスパック、またExchange、SharepointなどWindows関連アプリケーションの新リリースが出る際には、Symantecは30日以内にそれらに対応した製品をリリースします。Microsoftは2007年に、Vista、Exchange 2007、Sharepoint 2007、Office 2007、サーバOSのLonghornなど、さまざまな製品をリリースする予定ですので、それにあわせてSymantecでも新バージョンを出す予定です。また、セキュリティとアベイラビリティを組み合わせた機能も強化していく予定です。

--日本と米国のデータ保護市場に何か違いがあれば教えてください。

 IT管理者の課題は世界中どこでも同じです。使われているプラットフォームも、攻撃の手法も共通していますしね。ただ日本では、バックアップが部署単位で行われていることが特徴的です。米国ではCIOが企業全体のITガバナンスを管理するケースがほとんどですから、バックアップも企業全体のポリシーに従って行われます。それが大きな違いですね。問題が起こらないとなかなか実感できないことですが、企業全体のポリシーは統一されている方がいいと思いますよ。

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