製造技術が進めば、プロセッサの製造コストも低く抑えられる。Intelがいくつかの分野でAMDの勢いをそぐのに成功したのも、65ナノメートルプロセッサの製造で14カ月も先行したことが大きな理由となっている。
65ナノメートルプロセスへの移行によって、AMDはその遅れを取り戻す準備が整った。2007年の中ごろまでには、ドイツのドレスデンにあるAMDのFab 36工場(ドイツ国内に2つあるAMDの工場のうちの1つ)から出荷するプロセッサはすべて65ナノメートルプロセッサになる予定だ。
Kepler氏はさらに、18カ月以内に45ナノメートルプロセスで製造したプロセッサの出荷を目指すと繰り返し述べた。これは、通常の製造プロセス移行周期に比べて短い。もし成功すれば、Intelの時間的優位は6カ月ないし7カ月ほどに縮まってしまう。
しかし、その実現は容易ではない。45ナノメートルプロセスへの移行は、65ナノメートルプロセスへの移行よりも困難だと予想されている。AMDとIBMの両社は、45ナノメートルプロセスでの製造に向けて液浸リソグラフィの採用を考えている。これは、ウエハを純水に浸して、表面に回路を「描く」ビームの解像度を高める技術だ。この技術を大量生産に応用した例はまだない。Intelでは、45ナノメートルプロセスにこの技術を採用する予定はない。
45ナノメートルプロセスには、その他にもさまざまな技術が必要となる。
「18カ月というのは困難ではあるが、実現可能だ」と、VLSI ResearchのアナリストRisto Puhakka氏はメールで述べている。「Intelはロードマップの中で液浸リソグラフィ技術の成熟度について懸念を述べている・・・AMDは遅れて45ナノメートルプロセスに着手したため、この技術が成熟する時間的余裕があった。その意味では、採用しやすかったのだろう」
AMDは今や世界でも有数の半導体製造企業だが、それでも製品の出荷は遅れがちだ。AMDが最初の90ナノメートルプロセッサを出荷したのは2004年8月だった。つまり、90ナノメートルプロセスから65ナノメートルプロセスへの移行には2年4カ月かかったことになる。AMDの65ナノメートルプロセッサ出荷を2006年中ごろと予測していたアナリストもいる。
130ナノメートルプロセスから90ナノメートルプロセスへの移行は複雑で、さらに時間がかかっている。AMDが90ナノメートルプロセッサを出荷するのは、当初2003年末だと見られていた。Intelにも出荷の遅れはあったが、ムーアの法則が述べている2年という周期には比較的近い期間を守った。
AMDとIntelにとって、45ナノメートルプロセスへの移行を容易にする要因があるとすれば、予想されていたほど劇的な変化は必要なさそうだという点だ。以前には、両社とも45ナノメートルプロセスに関して、マルチゲート型トランジスタの製造やトランジスタ基材の変更などを考えていた。今では、こういった変化はまだ先の製造プロセス移行のときになるものと見られている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ