Windows Vista、そして2007 Office System(Office 2007)という、今後数年間、ビジネスのコアとなるであろう製品が同時にリリースされる点で、2006年末から2007年初旬はマイクロソフトにとって文字通り「約10年ぶり」(Windows 95以来)の大きな意味を持つ期間となる。この10年で、WindowsやOfficeだけでなく、同社を取り巻く環境、そして業界の勢力図も大きく変化した。
これからの10年も、その頂点に君臨しつづけるための礎として、マイクロソフトはVista、Office 2007で、ユーザーにどのような提案を行おうとしているのだろうか。そして、同社が取り組みを本格化させている「Liveサービス」は、これらのソフトウェアとどのような関係性を持つことになるのだろう。Microsoft Corporationで、長年、Windowsの開発統括責任者を務めてきたJim Allchin氏に代わり、2006年3月よりWindows事業部のトップとなったシニアバイスプレジデント、Steven Sinofsky氏に聞いた。
--今年の3月に現在の役職に就かれたとのことですが、Windows Vista、およびOffice 2007の開発完了に至り、マイクロソフトとしての作業はどのような段階に入っているのでしょうか。
いずれの製品も11月の初旬に開発完了をアナウンスしました。法人向けのリリースは11月末に行われており、並行してパッケージ商品やプレインストールPCの発売準備に入っています。商品のリリース時には、英語、日本語、フランス語、ドイツ語、スペイン語などに対応し、さらに数カ月の間で、全世界50億のユーザーの言語に対応させていきます。
--以前、Officeファミリーの開発責任者を勤めておられたとのことなので、Office 2007の話から聞かせてください。新バージョンで行われた、標準ファイル形式やユーザーインターフェース(UI)の大幅な変更は、特に企業ユーザーにとって、コストの面などから、移行の阻害要因にはなりませんか。
Office 2007は大きな変化を遂げたと考えています。単なる変化にとどまらず、大きく進化しています。それは目に見える形での進化です。
このプロジェクトを開始したのは約3年半前のことです。スタート当時、どのような形であれば、Officeの現在の優位性を最大化できるか、そして、新たな特性を追加するためにはどうすればいいかについて、白紙の状態からあらゆる方法を検討しました。
数多くのお客様やフォーラムに対して意見を募り、多彩なテストを実施しました。結果として、実際にフォーカスしたのは、すべてのコマンドを、デザインとして目に見える形でユーザーに提示することでした。コマンドを階層構造にしたり、隠したりせずに、常に同じ場所に集約された形で見えるようにしようということです。