DASDとは?
最近はあまり使われなくなったが、DASDとかいて「ダスド」と読む。20年ほど昔、IBM3380やIBM3390といった大きなディスク装置が主流の時代があった。それらのディスク装置を世間ではダスドと呼んでいたのである。ダスドとは、ダイレクト・アクセス・ストレージ・デバイス(Direct Access Storage Device)の頭文字を並べたもので、つまりはハードディスクドライブ(HDD)のことである。
一般に長い名前の単語は、分類上の形容詞を頭に乗せていたりする。DASDの場合はどうであろうか。頭にダイレクトとある。ということはダイレクトにはアクセスできない記録装置(ストレージデバイス)があることを示唆している。それは何だろう。正解はテープ装置である。ダイレクトアクセスとは、欲しいデータに直接(ダイレクトに)アクセスできるという意味であり、一発アクセスと言い換えてもよい。
となると、テープドライブは一発アクセスができないということになる。一般家庭で使われているビデオデッキもテープ装置の代表選手だ。自分専用のテープを多く持たない私は、家族のビデオテープの空いているところに録画することがある。お陰で「先週録画しておいたあの番組はどこだったかな」と探す時はとても大変だ。当然のことながら、テープのどこに録画したか分からないので、大抵テープの頭から探し始めるのだが、テープの頭出し機能を使っても直ぐに見たい番組へ移るわけではない。また、目的の番組らしき場所にたどり着いたとしても、本当に目的の録画なのか確認するため、冒頭部分を見なければならないので、結構時間と手間がかかる。何度もテープの巻き戻しや先送りを繰り返し、やっとのことで見つけたその頃にはリモコンを持つ手にじっとりと汗をかいていたりする。この汗こそが、テープドライブはダイレクトアクセスできないということを意味しているのである。
話をHDDに戻そう。HDDはダイレクトアクセスが可能だ。実際ハードディスクビデオレコーダーには、「一発頭出し」や「一発再生」といった札がついて量販店の棚に並んでいる。恥ずかしながら我が家にはまだない。しかし、HDDはどうやって目的の映像をズバっと表示できるのだろう。HDDの構造図などをどこかで見たことがある方は、HDDの中に何枚かの円盤が取り付けてある絵を思い出すのではないか。あの円盤が、いわゆるディスク上でデータの読み書きを行っているのだ。そもそもディスクの何処に何が書かれているのか、どうやって判るのか。ダイレクトという以上、「あの番組が見たい」と指示されたら、一発でその場所を見つける方法があるはずだ。